ビジネスモデル特許の動向と対策

門脇俊雄  2003.3.5  


 特許庁の技術調査課が「ビジネスモデル特許」(特許庁ではビジネス方法特許、ビジネス関連発明としています)の出願動向などについて本年2月に報告しています。報告の分析と出願人の注意すべき事項(対策)について紹介します。

 報 告 の 概 要 紹 介 

(1)出願件数の推移について
 出願件数は1999年が約4100件、2000年が約19000件(対前年比4.7倍)、2001年が約18000件(対前年比0.95倍)となっています。四半期別の件数では、2000年の第3四半期がピークとなっており、以降は漸減傾向を示しています。

ビジネス関連発明の出願件数(特許のみ)
                        (特許庁ホームページから転載)

 今後数年は減少傾向が続き、真に出願に値するものが出願されるようになって安定期(真の意味でビジネス方法特許が活用される時代)を迎えるものと思われます。極端な言い方をすれば、何でも出願をするというブームは終わったと言えます。
(2)審査結果(特許査定率)の状況について
 審査における特許査定率は、1999年が約36%、2000年が約28%、2001年が約23%となっています。(注:特許査定率=特許査定件数/(特許査定件数+拒絶査定件数)…件数は審査段階での数値)
特許査定率・拒絶審査不服審判請求率の推移
                      (特許庁ホームページから転載)

 これは、全体の特許査定率約57%に比較して極めて低い数値と言えます。審査において、技術分野別に審査の水準が異なることはありませんし、ビジネス関連発明は特に厳しく審査するという特許庁の方針もありません。
 したがって、ブームを背景として、レベルの低い特許出願が相当数されたことが伺え、また出願技術内容の不十分なことも一因としてあるものと思われます。

 出願人において注意すべき事項(対策) 

(1)出願前の先行特許調査の充実化
 先行特許調査をして、先行特許の状況を把握したうえで出願することが重要です。弊所でも先行特許調査を取り扱っていますので、ご相談ください。
(2)出願内容の充実化
 先行特許との相違及び有用性が十分に主張できる内容にすることが重要です。出願前は特許事務所との連携を密にして、より強力な明細書に仕上ることが重要です。
 なお、「報告」の詳細は特許庁ホームページをご覧ください。     http://www.jpo.go.jp/indexj.htm

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