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新たな特許請求の範囲の補正制限

〜シフト補正の禁止について〜

2008.3.4 岡田 充浩

1.はじめに
 昨年4月1日以降の特許出願には新たな補正範囲の制限が適用されます。本ニュースでは、特許出願を考えている企業が最低限知っておきたい事項をご紹介致します。

2.新たな特許請求の範囲の補正制限
 例えば、【請求項1】がA、【請求項2】がBを備える請求項1、【請求項3】がCを備える請求項1〜2、【請求項4】がDを備える請求項1〜3という出願をした場合、請求項のツリーは以下のとおりです。

※括弧内は請求項番号をいいます。

2.1 シフト補正の禁止に伴う発明の単一性の新たな運用
 旧運用は、例えば請求項1のAに拒絶理由があると判断した場合、従属への橋渡しとなるAが成り立たないため請求項2〜4を請求項1に従属しない、即ち、単一性違反とするのみで、その他の特許要件を判断するか否かを明らかにしていませんでした。そこで、新運用は、請求項間に発明の先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴(Special Technical Feature)を有していないことが単一性違反であると規定しました。新運用は、例えば、請求項1のAに新規性がない場合、発明の先行技術に対する貢献がない、即ちSTFがないと判断し、続くAを含む全請求項の内の最小番号(請求項2)のA+BにSTFが有るか否かを判断し、請求項2のA+BにSTFがあると判断した場合、その他の特許要件の審査を行い、一方、請求項2のA+BにSTFがないと判断した場合、続くA+Bを含む全請求項の内の最小番号(請求項3)のA+B+CにSTFが有るか否かを判断するようにし、請求項3のA+B+CにSTFがあると判断した場合、その他の特許要件の審査を行うことを明らかにしました。

2.2 シフト補正の禁止
 特許請求の範囲の補正では、STFがある請求項の全ての構成要件を含む請求項への補正のみが認められます。例えば、    
a)請求項1にSTFがないが請求項2のA+BにSTFがあるとされた場合:
 A+B+C(3),A+B+D・A+B+C+D(4)及びA+B+x(追加)へ補正できます。    
b)請求項1及び2にSTFがないが請求項3のA+B+CにSTFがあるとされた場合:
 A+B+C+D(4)及びA+B+C+x(追加)へ補正できます。
 尚、その他の請求項への補正はシフト補正として禁止されているので、これらの請求項を救済するために分割出願を行う必要があります。

3.出願時の御依頼の注意点
 権利化への優先順位が高いものを小さい番号の請求項に記載できるように御依頼下さい。

■特許出願の手続については河野特許事務所までお気軽に御相談下さい。

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