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マジコンの販売行為が刑事罰に!

〜アクセスコントロール回避規制の強化〜

2011.10.1 大竹 康友


 近年、インターネットを介して様々な態様のコンテンツが流通する中で、コンテンツが違法に視聴及び(プログラムとして)実行されるケースが増えています。これに対し、2011年12月1日から不正競争防止法が改正施行され、アクセスコントロール回避規制の強化が図られます。以下、法改正の概要を紹介します。

1.アクセスコントロールの回避を規制する法律の現状とその効果

 アクセスコントロールとは、例えば、衛星放送のスクランブルのように暗号化によって視聴を制限する技術的制限手段や、正規の記録媒体以外ではゲームを利用できないようにする技術的制限手段を指します。不正競争防止法では、以上のような技術的制限手段を回避して無効化する機能のみを有する装置等(プログラムを含む、以下同様)の譲渡等が不正競争として規制されており、いわゆるマジコンと呼ばれる装置が「のみ」要件を満たす「専用装置」であるか否かが争点になりました(東京地裁平成20年(ワ)第20886号)。但し「専用装置」であったとしても刑事罰の対象とはなっていないため、マジコンのようなアクセスコントロールを回避する「専用装置」の輸入・販売行為が後を絶たないのが実情です。また、アクセスコントロールを回避する機能以外に音楽ソフトの起動等の機能を併せ持つために「専用装置」と解されない可能性がある装置が多数流通しており、コンテンツ提供事業者の被害が深刻化しています。

2.不正競争防止法の改正に伴う主な措置
(1)技術的制限手段を回避して映像の視聴等を可能とする機能と、それ以外の機能とを併せて有する装置等、つまり「専用装置」とは解されない「非専用装置」等について、技術的制限手段を回避する用途に供するために提供する行為(譲渡する行為等)が不正競争と規定され、差止請求等の対象となります。「専用装置」及び「非専用装置」には、技術的制限手段を回避する機能を有する装置の部品一式であって容易に組み立てることができる、いわゆる組立キットが新たに含まれるようになります。
(2)「専用装置」及び「非専用装置」等について、不正の利益を得る目的又は技術的制限手段を用いる者に損害を与える目的をもって行われた不正競争が刑事罰(5年以下の懲役若しくは5百万円以下の罰金)の対象となります。法人への両罰規定も導入されるため、従業員が不正にかかわると会社は大きなダメージを受けることとなります。これらにより、閉店・開店を繰り返す事業者、悪質な露店商人、オークションへの出品者等の、民事措置(差止請求及び損害賠償請求)のみでの対応に限界があった者に対する抑止効果が期待されます。

3.その他
(1)今回の不正競争防止法改正と併せて行われた関税法改正(4月1日施行)により、水際措置の対象となる輸出入禁止品に、技術的制限手段回避装置等が追加されたことによって保護の実効性が高まっています。
(2)従来、著作権法では、「技術的保護手段」(いわゆるコピーコントロール)を回避して複製を行うことは、私的利用であっても違法となり、更に、そのような回避専用装置等の譲渡等を行った場合は刑事罰が科せられていました。

■法改正ついて質問がございましたら、お気軽に河野特許事務所までご連絡ください。

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