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商標の指定商品

~現在・将来の業務を視野に入れて!~

2012.10.1 廣田 由利

 商標法では、出願時に商標を使用していなくても、将来、自己の業務の商品について使用する意思があればよいとされています。商標出願では商品の区分を挙げて、1区分内で複数の商品を指定します。商標は更新することで10年の存続期間を何度でも延長することができ、将来、経営の多角化が進み、業務が多岐に及ぶ可能性があり、出願時にできるだけ多くの商品を指定したいところです。審査では、出願商標と同一又は類似の商標が他人の登録商標、周知商標として存在しないか等を調査するとともに、商標の使用の有無、可能性等についても検討されます。ここでは、指定商品について拒絶される可能性を踏まえて、指定商品の検討について具体的に説明します。

1.審査時の指定商品についての指摘
 出願時に1区分内で8以上の類似群コード(互いに類似すると考えられる商品の群毎に付けられたコード)に亘る商品を指定していた場合、商標の使用又は商標の使用の意思があることに疑義があるとして、拒絶理由を通知されます(商標法第3条第1項柱書違反。)

2.対応(以下のいずれかの手続きをします)
(1)1区分内の商品(役務の)類似群コードが7以下になるように補正する。
類似群コードは、特許庁HPの[類似商品・役務審査基準【国際分類第10版対応】]より確認します。:例えば区分が第18類で、「かばん金具,がま口口金,蹄鉄, 皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」を商品として指定していた場合、類似群コードで分けると、「かばん金具,がま口口金,蹄鉄皮革製包装用容器愛玩動物用被服類かばん類,袋物携帯用化粧道具入れステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄乗馬用具皮革」の9になりますので、7以下になるようにします。
なお、「皮革」は3つの類似群コードを有しますが、包括概念表示として1の類似群としてカウントされます。

(2)商標の使用をしていることを示す証明書を提出する。
具体的には、① 印刷物(新聞、雑誌、カタログ、ちらし等)、② 店舗及び店内の写真、③ 取引書類(注文伝票、納品書、請求書、領収書等)、④ 公的機関等の証明書、⑤ 同業者、取引先、需要者等の証明書、⑥ インターネット等の記事、⑦ 小売等役務に係る商品の売上高が判る資料等を提出する。

(3)商標の使用意思を示す証明書を提出する。
①使用意思確認書
  出願後3~4年以内に商標の使用を開始する意思を有することを示すために、何年何月から、どの商品について商標の使用を開始する予定であるかを記載する。
②事業計画書
  使用開始に至るまでの具体的な事業の準備状況や計画(商品又は役務の企画の決定、工場や店舗の建設等)を記載する。

3.出願前の検討
以上の点を踏まえ、将来の業務の可能性を検討し、1区分内の商品の類似群コードが7以下になるか否かを考慮し、類似群コードが8以上になる場合、上述の商標の使用、又は使用意思を示す書面を提出して、拒絶理由の通知を回避することを検討すべきと考えます。

■ 商標についてご質問がございましたら河野特許事務所までお問い合わせ下さい。

 

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