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特許出願等の新規性喪失の例外適用期間が1年に延長

~出願前に公知になった発明も特許になる~

2018.7.2 難波 裕

特許法、実用新案法、及び意匠法が改正され、新規性喪失の例外の適用期間が6ヶ月から1年に延長されました。本改正の内容と注意点について紹介します。

1.新規性喪失の例外とは
 我が国では、特許出願よりも前に公知となった発明は原則として特許を受けることができませんが、①発明者がプレスリリースや論文発表等によって自らの発明を公知とした場合、あるいは②発明者の意に反して発明が公知になった場合には、特定の条件の下で発明の新規性が喪失しないものとして取り扱う例外規定が設けられています。これは実用新案法、意匠法も同様です。
 従来は公知日が出願日から6ヶ月前までであれば新規性喪失の例外規定が適用されましたが、法改正により、2018年6月9日から適用期間が6ヶ月から1年に変更されました。

2.注意点
 改正前との均衡を図るため、改正法は2017年12月9日以降に公知となった発明に適用されます。従って、2017年12月8日までに公知となった発明については、2018年6月9日以降に出願したとしても新規性喪失の例外規定の適用を受けることができませんのでご注意ください。詳細は下図の通りです。

新規性喪失の例外適用期間延長

 また、発明を自ら公知とした場合には、(1)新規性喪失の例外の適用を受ける旨を記載した書面を出願と同時に提出し、かつ、(2)自らの行為で新規性を喪失するに至ったことを証明する書面を出願日から30日以内に提出する必要があります。
 なお、発明者の意に反して公知となった場合には手続を行う必要はありません。

3.外国での新規性喪失の例外の取り扱いについて
 米国、韓国、カナダ等では新規性喪失の例外として認められる発表行為が日本と同様に限定されておりません。しかし、中国、欧州、台湾等では、新規性喪失の例外として認められる行為が、政府公認の博覧会での発表、第三者による意に反する公知などに限定されており、新規性喪失の例外の適用を受けることが難しい状況です。従って、将来の外国出願も見据え、原則的には新規性喪失の例外に頼らず発表前に出願を行い、止むを得ない場合のみ新規性喪失の例外の適用を受けることをお勧め致します。

◆新規性喪失の例外についてのご質問がございましたら、河野特許事務所までお問い合わせ下さい。

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