3 ネットでの不正行為

 ネット上、またはそれに密接する環境下では上述したようなグレイゾーンの 行為だけではなくもっとあからさまな不正行為が行われる可能性がある。不正行 為は以下の4種に分類される。

@ 盗聴(盗み見)・検閲  Fig.1

 基本的な不正行為であり、あらゆる通信に関連して行われ得る。権力者によ って行われるのが検閲である。
 盗聴されただけでは被害は潜在化しており、当事者は直接的には被害を認識 しない。漏洩され、または窃用されて被害が顕在化する。
 クレジットカードの番号、氏名が知られるとそれを用いての買い物が行われ たりする
A 改竄(消去) Fig.2

 受信者に対して直接的被害が及ぶ不正行為である。消去については通信情報 の暗号化によっても対処できない。
 金銭の移動が行われる場合、Aの口座番号がXの番号に改竄されると金銭が Aへ支払われずにXに盗まれることになる。
B なりすまし Fig.3

 XがAになりすますことをいう。Aが社会的に信用がある組織である場合、 XがAになりすまして情報を送り、金銭、商品などを詐取する。XはXとして送 信したことを否定する。
 閉鎖的ネットである場合は、非会員のXが会員であるかのごとくに通信を行 う不法侵入もこれに分類できる。
C しらばくれ Fig.4

 ネット上で情報、金銭などを受領したり、又はオフラインで商品を受け取っ たにも拘わらず、受け取っていないと否認する行為を言う。図はXがAから情報 を受信したにも拘わらずそれを否定していることを表しているつもりである。
 これらの不正行為のうち、個人情報の保護が直接的に問題になるのは@Aで ある。盗まれた個人情報によってBCの不正行為が引き起こされる。

 ネット上を流れる個人情報は以下に述べるように多岐にわたり、それらが@ ーCの一部又は全部の不正行為の危険に曝されているのである。
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