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ソフトウェア関連技術の保護

〜任天堂が「マジコン」を提訴〜

2008.9.1 八木 まゆ

 先日、任天堂株式会社は「本来ニンテンドーDS(※)上では起動しないはずのゲーム・プログラムの複製物が、起動可能となる」ことを挙げ、「『R4 Revolution for DS』に代表される機器(所謂「マジコン」と呼ばれる機器)を販売する業者(以下、マジコン業者)に対し、不正競争防止法に基づいて、輸入・販売行為の差止等を求める訴訟」を提訴しました(任天堂ニュースリリース、2008年7月29日から引用)。

★「不正競争」?
 「マジコン」は、本体がDSLiteのゲームカード又はゲームボーイアドバンスのカセットの形態をしており、「本体」に記憶させるソフトウェアにより、ニンテンドーDS(以下、NDS)のインタフェースを介して、microSDカードなどの小型の記憶媒体に違法に複製されて記憶されたNDS用のゲーム・プログラムをNDSに実行させることを可能にするものです。
 不正競争防止法には、「技術的制限手段により制限されているプログラムの実行、又はプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置若しくは当該機能のみを有するプログラムを記録した記録媒体若しくは記憶した機器の譲渡、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為」(一部省略)という不正競争行為の定義があります(不正競争防止法2条1項10号)。
 この条文の技術的制限手段には、CD、DVDなどのメディアに記録する際に特定の信号を埋め込むことによって複製を制御するなどのコピーガード技術が相当します。ニンテンドーDS他、各ゲーム機器用のゲーム・プログラムにはコピーガードが施されていると考えられます。
 「マジコン」で、マジコン業者が提供するソフトウェアにより「技術的制限手段の効果を妨げる」動作が実行され、「制限されている違法な複製プログラムの実行又は記録」が実現可能とすれば、「マジコン」の輸入・販売行為は、まさしく不正競争防止法2条1項10号に定義される「不正競争行為」に当たると解釈できます。
 またマジコン業者は、本体に記憶させるソフトウェアをインターネットを介してダウンロード可能に提供しているようです。これも上述の条文における後半部分「当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為」、即ち「不正競争行為」に当たります。

★ソフトウェアを守る法律
 ソフトウェア関連の技術に対しては、特許法に基づく保護、著作権法による保護が可能です。特許法では、特許庁における審査を経て確実に技術範囲を守ることができる強い特許権による保護が可能です。著作法では、プログラムの不正な複製や改造を防止することができます。
 ハードウェアの製造部門を持たず、既存の装置に独自に開発したソフトウェアプログラムをインストールさせ、これによって実現できる機能を提供するサービスを実施している事業者の立場からは、こういったプログラムの不正な複製利用に対しては、様々は法律の観点から厳しい対処がされることが期待されます。

■ソフトウェア関連の知的財産権に関するお問い合わせは、河野特許事務所までお気軽にご相談ください。
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