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商標の類否判断

〜前段階の判断が覆ることも!〜


2009.10.1 廣田 由利

 商標同一であるだけでなく、類似しているときにも出所(商標使用者)の混同が生じる可能性がありますので、商標の登録には他人の先願登録商標と同一・類似でないことが必要であり、侵害訴訟でも商標の類否が問題となります。

☆類否判断の要素・主体

  商標は、原則、商標の外観、称呼、及び観念のうちの少なくとも一つが類似していれば、他の要素に紛らわしいところがなくても類似していると判断されます。審査段階では審査官が、裁判では裁判官が一般的取引者・需要者の視点から判断します。商品等の取引の実情が考慮されます。判断は、商標全体、及び要部(商標の中で中心的な識別力がある部分)の両方について行われます。

☆拒絶査定不服審判・裁判で類似→非類似とされた例
 原則は上述の通りですが、総合的な判断から非類似と認められることがあります。登録商標と称呼が類似するとして登録が拒絶された出願について、拒絶査定不服審判で、両商標は称呼が類似するとしても、本願商標は図案化されて、引用商標とは外観上著しく相違し、総合的に考察すると両商標を指定商品に使用しても出所の混同は生じず、両商標は非類似とされた例(不服2003-12897)があります。他にも、アルファベット3文字からなり、1文字相違するが称呼類似とされた出願商標及び登録商標について、@出願商標の文字は図案化されていること、Aアルファベット3文字の場合、一文字一文字を区切って発音するのが一般的であることから称呼において相紛れるおそれがないことを主張して非類似とされた例(不服2001-3256)があります。また、被告人が使用する標章が登録商標の文字を一部として含んでおり、類否が争われた侵害訴訟では、@被告の標章は一部ではなく、全体が一体的に認識される、A登録商標は殆ど使用されておらず、被告の商品の実際の宣伝・販売方法等の取引の実情から出所の混同のおそれは否定されるとして、被告が勝訴した例(大阪高裁平成19年(ネ)第3057号)があります。

☆対策として
 出願時に、特許電子図書館の商標検索の称呼検索等を行い、審査段階で引用商標となりそうな商標が見つかった場合には、出願商標を図案化すること、他の文字と結合することが考えられます。また、積極的に使用し、「取引の実情」を主張できるようにし、周知性を獲得することも考えられます。

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