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ソフトウェア特許に関する侵害訴訟事件

~スマートフォンを巡る特許訴訟~

2010.6.1  八木 まゆ

 昨年末より新聞等で取り上げられているように、iPhone®(Apple社)を初めとするスマートフォンに関する特許をめぐって多数の訴訟が提起されています。

◆事件の流れ
 2009年10月、NokiaがAppleを特許侵害で米国連邦地裁へ提訴しました。これに対し12月にはAppleがNokiaを反訴しました。Nokiaは更にUSITC(※)へも特許侵害を申し立てています。2010年も、MotorolaがBlackBerry®で知られるカナダのRIMによる特許侵害をUSITCへ申し立てたり、Appleが、googleのAndroid®を採用している台湾のHTCによる特許侵害をUSITCへ申し立てた後、逆に同様にUSITCへ特許侵害を申し立てられたりしています。
 このような状況は、スマートフォンが世界中に普及し始め、各社がシェアを競い出し、先行するiPhone®に対して各社が主導権を奪おうという動きに映ります。
※:USITCとは、United States International Trade Commission(米国国際貿易委員会)の略称です。USITCは、米国の貿易に関する問題を調査する独立した連邦機関です。USITCへは、特許侵害に係る物品の米国への輸入の差し止めを訴えることになります。連邦地裁へ提訴する場合よりも決定が速いことから昨今、特許に関する申し立てが多くみられます。最近では韓国サムソンとシャープとの間で侵害事件が申し立てられました。

◆スマートフォンに関連する特許
 スマートフォンは、基本となる通信技術や小型化のための回路構成等に加え、タッチパッド又はマルチタスク処理など、ディスプレイにて確認できる表示上の技術から、内容を確認することが困難な内部的処理まで多様なソフトウェア技術が集約されており、それらの多くは特許技術です。今回の各事件でも、表示方法から内部処理まで多数のソフトウェア関連特許が特許侵害の根拠とされています。
 例えば、Nokia対Appleの争いに係る複数の特許の1つであるNokiaの特許(米国6,073,036)は、タッチパッド式のディスプレイに文字キーを表示したときにユーザが触れた箇所の文字を、あたかもディスプレイとユーザの指との間にレンズが配置されたように拡大して表示し、拡大された文字の部分が再度触れられた場合には、当該文字がユーザにより選択された文字であると識別することを特徴とする無線通信器の操作方法です。
 また、Apple側が侵害の根拠としている特許の例を挙げると(米国7,657,849、特表2009-521753)、操作ロック状態でディスプレイへの接触を検知し、接触に従って、ディスプレイ上の所定のパスに沿わせてアンロックインタフェースの画像を動かし、ユーザによる操作が所定の操作である場合にアンロック状態へ移行し、逆に所定の操作でない場合はロック状態を維持することを特徴とするタッチパッドディスプレイを有する電子機器の制御方法があります。
 これらの特許は、現時点で考えると非常に身近な内容であり、先に着目した様々なアイディアを早期に権利化することの重要性を感じさせます。
 なお、今回のスマートフォンを巡る特許侵害事件の動向は、スマートフォンに関連する各ソフトウェア開発会社間の攻勢が興味深いのみならず、ソフトウェア関連特許に関する判例、見解が出される可能性があり、今後に注目されます。

◆ソフトウェア関連特許の知的財産権に関するお問い合わせは、河野特許事務所までお気軽にご相談ください。

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