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特許異議申立て制度の利用

~他者権利化に物申す~

2015.5.1 八木 まゆ

 2014年度特許法改正によって特許異議の申立て制度が創設されたことは、既報(2014年6月号)の通りですが、2015年4月1日から運用が開始されていますのでその詳細をご紹介いたします。

・制度の概要
 特許異議申立て制度は、設定登録された特許発明に対して異議を申し立てることができる制度です。異議を申し立てることができる対象は、2015年4月1日以降に発行された特許掲載公報に係る発明です。なお、異議申立ては"何人も"、つまり"誰でも"でき、期間は特許掲載公報発行日から6か月以内です。

・特許異議申立てのメリット
  他者の特許権利化を阻止するという点で類似する他の制度に、情報提供制度及び無効審判請求制度が存在します。下表にその比較を示します。

fig1

 昨今では審査の迅速化が進んだことによって、出願と同時に審査請求した場合などで出願から1年6か月経過により出願公開されるよりも前に、設定登録されるケースが増加しています。このようなケースでは、知らない間に成立した特許権によって突然のように、自身が実施する製品の設計変更を余儀なくされる可能性があります。
 このケースで特許権利化に疑問があったとしても、公開前で出願内容が分からない状況では審査段階での情報提供制度を利用することはできません。設定登録後、内容が分かった後も情報提供制度を利用することはできますが、審判合議体による審理を受けるまでには至りません。かといって特許無効審判を請求した場合、口頭審理における申立て側の人的な負担はかなり大きいと言えます。金銭的にも、特許庁への費用のみならず代理人費用も高額にならざるを得ません。特許異議申立てでは特許無効審判の請求書同様の書面にて、公知技術との対比に基づく詳細な主張を述べ、審判合議体による審理を必ず受けることができ、しかもその費用は特許無効審判よりも低廉です。
 上述のケースのみならず他者による特許権利化を阻止するための方法として、特許異議申立て制度は特許無効審判に比べてかなりハードルが低くなっていますので、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

◆ 特許異議申立て等、権利侵害に関するご相談は、お気軽に河野特許事務所まで。

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