2006年7月10日、米国特許商標庁(USPTO)は、IDSに関する米国特許法規則(37 CFR)の改正案を発表した
IDS(Information Disclosure Statement:情報開示陳述書)制度は、出願人が知っている先行技術文献を、審査官に対し提示しなければならない制度である。(37 CFR §1.56)。これは、出願人がUSPTOに対し誠実かつ善良であることを求めるもので、これに反した場合、不公正行為があったとして権利行使が認められなくなる。
現状では、権利行使ができなくなることを防止するために、提出すべきか否か迷った場合、とりあえず提出しておくという実務となっている。USPTOは現状のIDSに関し、以下の問題点を指摘している。
(1)多くの出願人は、大量の先行技術文献を、なぜ提出の必要があるかを明確にすることなく審査官に提出している。
(2)多くの出願人は、非常に長い文章に係る先行技術文献を、これらのどの部分がクレームに関連するかを指摘することなく審査官に提出している。
(3)多くの出願人は、重要な先行技術文献を時期遅れで提出している。
このような出願人の存在により、早期かつ高い精度での審査結果の通知を行うべく採用したIDS制度が機能しなくなっている。
今回の改正案の重要ポイントは以下のとおり。
(1)早期にかつより重要な文献の提出を促進すべく、IDS提出費を無料とする。
(2)出願人は、最初のオフィスアクションの前に限り、追加の説明なく最大20を限度として先行技術文献を審査官に提出することができる。
(3)出願人が、20を超える文献を提出する場合、または、最初のオフィスアクション以降に提出する場合、提出する文献に関するより詳細な説明及びクレームに対する関連性を述べる必要がある。具体的には、
@先行技術文献のどの部分が重要かを明確化しなければならない。
A先行技術文献が適用される特定のクレームを指摘しなければならない。
B先行技術文献中どの点が新たに追加された事項かを明らかにしなければならない。
C先行技術文献に対し、クレームが特許性を有することの説明をしなければならない。
コメント 現在パブリックコメントを募集しており、後日その改正規則が提示されるであろう。この先行技術文献数「20」という上限が妥当か否か議論なされるものと思われる。なお、外国のサーチレポート及び拒絶理由通知等は、この20にカウントされない。
詳細な情報は、USPTOのHPからダウンロードできます(PDFファイル)。
http://www.uspto.gov/web/offices/com/sol/notices/71fr38808.pdf
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