●商標法が変わります● (H9.4.1より適用) |
1.立体商標が登録できます。(2条1項、4項) | ||
現行法では、商標として登録できるものは文字・記号・図形のような平面的なものに 限られていましたが、立体的なものも登録できるようになります。 [例えば] ・象や兎の形をした菓子 ・特殊形状の飲料水用容器(ボトル、パック等) ・缶ビール半ダース分を入れる一風変わった携帯容器 ・持ち帰り料理の店頭販売用の新奇なデザインの容器 ・特殊形状の看板(例、かにの看板)等 | ||
2.願書の記載事項が簡略化されます。 | ||
a)業務、出願日の記載は不要になります。 b)識別番号の記載が必要となります。 c)商標見本はワープロ、タイプ、手書き等で直接願書に記載できます。 | ||
3.1出願多区分制度が導入されます。(6条1項、2項) | ||
商標は審査の便宜上、42の区分に分類されています。現行法では1つの出願は 一つの区分しか指定できませんでした。したがって多数の区分にまたがる場合は、 区分数に応じた複数の出願が必要でしたが、改正法では一つの出願で多数の区分が 指定できるようになります。 [例えば] 扱い商品が加工食品、ビール、清涼飲料水と多種にわたり、さらに割烹も 経営している場合、30類(加工食品)、33類(ビール)、32類(清涼飲料水)、 42類(飲食業)と4つの区分を一つの願書に指定して出願することができます。 ・印紙代は… 6,000円+15,000円×(区分数)となります。 ・ある区分が拒絶されたり、異議申し立てを受けたときは… その区分を切り離せば、他の区分について登録されます。 ・登録料は… 66,000円×(区分数)となります。 | ||
4.連合商標制度が廃止されます。 | ||
現行法では、ある商標と類似の商標(「キング」と「KING」等)を連合商標として 同一人が登録することが認められていましたが、制度の廃止により次のような点が 変わります。 ・従来連合関係にあったものも独立の商標となります。(現在出願中のものを含む) ・改正法では、商標「キング」の商標権者が英語の「KING」も押さえておきたい 場合は通常出願で登録が受けられます。 ・連合商標制度の利点として、一方を使っていれば他方を使っていなくても更新が 認められ、不使用取り消しを免れることができましたが、制度の廃止でこの特典は なくなります。 | ||
5.更新手続きが簡単になります。(20条、41条の2) | ||
・「更新出願」は「更新申請」と名称が変わり、使用証明書は不要です。 ・申請書に添えて更新登録料(\151,000)を納付する必要があります。 ・期間内に更新申請するのを忘れても6ヶ月以内であれば倍額納付で権利が 回復できます。 | ||
6.新規登録料及び更新登録料の分割納付ができます。(41条の2、42条) | ||
・前期(5年)と後期(5年)に分けて納付できますから、ライフサイクルの 短い商品の場合にメリットがあります。 ・ただし、防護標章は除かれます。 ・新規登録料の分納の場合、 印紙代は、44,000円×(区分数)と割高になります。 | ||
7.類似関係にある商標の分離移転が可能になります。(24条の2) | ||
従来連合関係にあった商標は、一方のみを第三者に分離移転できないように なっていましたが、連合商標制度の廃止により、分離して第三者に移転する ことができるようになります。 [例えば] ・商標「キング」とその連合商標として「KING」の権利をもっている場合、 「KING」だけを第三者に移転することが可能です。 ・もし両者の混同が心配されるときは、「KING」の持ち主に混同防止の ための表示を付けさせることができます。 ・移転登録に必要とされた日刊紙への移転公告は不要になります。 | ||
8.団体商標制度が導入されます。(7条) | ||
事業協同組合等の非営利法人が団体名義で商標登録を取り、組合員に 使わせることができます。これにより組合員が扱う商品の品質管理が し易やすくなります。 | ||
9.不使用商標に厳しくなります。(50条) | ||
・取消審判は利害関係の有無を問われることなく誰でも請求ができます。 ・不使用取り消しを免れるための駆け込み使用は認められません。 | ||
10.国内・外国の著名商標の保護が強化されます。(4条1項19号) | ||
有名なブランドは、たとえ商品や役務が違っていても登録されません。 [例えば] ・香水で有名な「シャネル」をレストランの名前にして、登録を取ろうとしても 拒絶されることになります。 条文上は「不正の目的」が要件となっていますが、なぜ有名なブランドと同じ 商標を選んだのか合理的説明がつかない以上、不正の意図ありととられても 仕方ありません。 ・登録を取らずに使用した場合は不正競争防止法にひっかかることがあります。 自己の製品やサービスに自信があれば自分の商標を選定すべきです。 | ||
11.情報を特許庁に提供して権利の発生を防ぐことができます。 | ||
・現在速報で出願中の商標がチェックできますが、もし登録すべきでないと 思われる商標出願があれば拒絶理由となる情報を特許庁に提供することが できます。 ・異議申立に似ていますが、異議の場合はその商標はすでに登録されて権利になって いますから権利が行使できます。 ・情報提供で権利の発生を未然に防ぐことができる制度です。 | ||
12.名義変更の一括申請が可能になります。 | ||
・同一人名義の商標(出願中のものを含む)の譲渡を受けた場合、 名義変更は1通の書面で一括申請が可能になります。 ・申請書のタイトルは「商標登録出願人名義変更届及び移転登録申請書」です。 ・出願中のものは特許印紙を、権利になったものは収入印紙を、 別の用紙に分けて貼る必要があります。 ・譲渡証は従来通り必要です。 ・手続きは移転を受けた側だけでも申請できます。 ・会社の名称や住所が変わった場合の変更手続きも1通の書面による一括申請で 済ますことができます。 | ||
旧商品区分の商標登録をお持ちの方へ | ||
順次国際分類に書換える必要があります。 ・書換申請の提出時期は、存続期間満了日前6か月から満了後1年の期間です。 ・申請が受け付けられる日は次のようにまちまちですのでご注意ください。 ▲大正10年法以前の類別による登録は・・・1998年4月1日受付開始 ▲大正10年法の類別による登録は・・・・・1998年4月1日受付開始 ▲昭和34年法の類別による登録は・・・・・2000年4月1日受付開始 ・書換申請は審査され、不適法なものは意見書を出す機会を与えた上で拒絶されます。 ・拒絶に対しては、審判請求できます。 ・拒絶されても更新登録は認められますが、次回の更新申請は認められません。 ・書換申請書には印紙は不要です。 ・書換後に新旧指定商品を表示した公報が発行されます。 ・書換の結果、登録が複数の商品区分にまたがることになっても、 登録番号はそのままです。 |
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