■意匠法改正■ 

平成11年1月1日施行

はじめに

意匠法とは

工業製品のざん新な形態を物品(独立した製品として流通できる有体物)ごとに登録し、他人の模倣や盗用から
保護するための法律です。

改正の
目的

(1)独創的な意匠に対する広く強い権利の付与
(2)諸外国の制度との調和
(3)利用者が使いやすい制度への改良
などの観点から、より創造性の高い意匠の保護を促進することを主な目的としています。

改正の
概要

部分意匠制度の導入
新しい「組物の意匠制度」の導入(システムデザインの保護の拡大)
類似意匠制度の廃止と関連意匠制度の導入
■ 願書・図面の記載用件の多様化・簡素化
■ 特徴記載制度の導入
■ 意匠登録のための「創作性レベル」の引き上げ
■ 機能にのみ基づく意匠の登録排除
■ 先願登録意匠の一部と同一又は類似の後願意匠の登録排除
■ 拒絶確定先願等の先願権の消滅

部分意匠制度の導入
 物品の一部分の形状や形状と模様だけの結合でも登録できるようになります。
 例えば、以前はカメラのレンズ部分に特徴がある場合でも、カメラ全体を登録しなければなりませんでしたが、
 改正後は、そのレンズ部分の形態についてだけでも登録できるようになります。

 [利点]

 物品の特徴的な部分にしぼって登録しておくと、登録された特徴部分と同一または類似の形態のもので
 あれば、他の部分が異なっていても他人によるその意匠の実施を排除することができます。
 つまり、「部分意匠」の登録をする方が「全体意匠」の登録をするよりも、広くて強い権利が得られることに
 なります。

 [注意点]

 出願の順番に注意する必要があります。それは、全体意匠を先に出願し、部分意匠を後から出願す ると、
 どちらも自分が創作や出願した意匠であっても、全体意匠が登録され意匠公報に掲載されると、部分意匠の
 方は登録を拒絶されてしまうからです。
 部分意匠を先に出願するか、部分意匠と全体意匠を同日に出願することが必要です。
 部分意匠として登録を求める形状や模様の範囲が明確でない時は、登録が受けられない場合があります。

部分意匠の例1

[登録可能]

カメラのレンズ部分 建物用扉の取手 はさみの柄

部分意匠の例2

[登録可能]

ティーシャツのワンポイントマーク コップの絵柄

部分意匠の例3

[登録不可]

乗用自動車のシルエット 包装用びんの一部 ティーシャツの模様のみ

新しい「組物の意匠制度」の導入(システムデザインの保護の拡大)

従来でも同時に使用する2個以上の物品のセットであって、セット全体として統一性があるものについての意匠は、
「組物」の意匠として登録することができました。
このたび、組物として認められる品目が、従来の13品目から大幅に増加され、広い範囲にわたってシステムデザインを
保護できるようになりました。

[新たに認められる組物の例]

事務用具セット オーディオ機器セット ゴルフクラブセット

類似意匠制度の導入と関連意匠制度の導入

意匠のバリエーションを保護する方法が変更になります。
類似意匠制度(自分の登録意匠(本意匠)に類似する意匠を登録する制度)を廃止し、新たに関連意匠制度が
導入されます。
関連意匠制度のもとで複数の類似する意匠を登録するため、いずれかを本意匠と決めそれ以外を関連意匠として
本意匠の出願と同日に関連意匠も出願する必要があります。
関連意匠は必ず本意匠に類似していなければなりませんが、登録されると本意匠から独り立ちした登録意匠として独自の
権利を有します。
また、関連意匠の意匠権は、本意匠が無効審判や放棄等により消滅しても、その影響は受けて消滅する事はありません。
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