2001年7月18日
河野英仁
[2]トラブル対処方法〜ドメイン名について商標登録していますか?
[1]基礎知識
(a)ウェブサイトを運営する場合は、お客様をウェブサイトに効率よく導くためにも、より直感的でわかりやすいドメイン名を取得することが望まれます。
例えば、「(会社名).com」、「(商品名).co.jp」で取得できれば最高ですね。
(b)しかし、ドメイン名の取得は早い者勝ちであるため、先取り的に取得して高額な取得費を正規の運営者に請求したり、正規の運営者が築いた信用にただ乗りする悪質なケースが急増しています。
また、.com以外にも、ne.jp , .net等その組み合わせは膨大であり、将来のトラブルを予知してたくさんのドメイン名を取得することは、事実上困難です。
(c)今までに問題となったのは、「三共.com」、「jaccs.co.jp」「game-boy.com」「madonna.com」等です。
[2]トラブル対処法
(a)これらのトラブルが発生した場合は、
★jpドメインの場合は、工業所有権仲裁センターへ
★com等のドメインの場合はWIPO(世界知的所有権機関 スイス・ジュネーブ)へ
申請書を提出し裁定・仲裁を受けることができます(ただし、仲裁センターの裁定に不服の場合は、裁判に持ち込むことができます)。
工業所有権センター等の機関での仲裁手続きについては代理いたしますのでご相談下さい。
(b)注意点
では、仲裁の申請において、注意すべき点はどんなところでしょうか?申立が認められるためには、以下の要件が必要です。
T)取得者のドメインネームが、申立人(正当な権利者)が権利を有する商標その他の表示と同一または混同を引き起こすほど類似していること。
U)取得者が当該ドメインネームの登録についての権利または正当な利益を有していないこと
V)取得者の当該ドメインネームが、不正の目的で登録または使用されていること
すなわち、申し立てたら、全て認められるわけではなく、正当な権利者がドメイン名についての商標権をきっちり取得している必要があり、また取得者に悪意等が無ければなりません。
したがって、現時点でこれらのトラブルを防止するためには、取得したドメイン名についても商標登録出願をして商標権を取得しておくことが重要となります。商標登録出願については弊所へお問い合わせ下さい。
[3]不正競争防止法改正の動き
(a)上述しましたように、これらのトラブルを防止して、公正な取引秩序を保つために不正競争防止法の改正が予定されています(年末に施行の予定です)。
(b)概要は以下のとおりです。
T)不正競争の定義に、不正の利益を得る目的で、または他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(氏名、商号、商標等です)と同一または類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、またはそのドメイン名を使用する行為を追加すること。
U)以上の行為によって営業上の利益を侵害された者は、一定条件下で損害の賠償を請求することができる。
というものです。改正の動向はまた情報が入り次第お届けいたします。
不正競争防止法の改正の詳細はこちら
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0001427/0/010327fusei.html
です。
以上
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