裁判所が仲裁センターのドメイン名移転の裁定を支持する初判決
〜H13.11.29東京地裁 平成13年(ワ)5603号〜
2001年11月30日
河野英仁
1.背景
事の発端は被告(ソニー株式会社)がインターネットを利用した銀行業に参入することが報道された直後に、原告(合資会社壱)が「SONYBANK.CO.JP」についてドメイン名を登録したことにあった。被告は、平成13年1月18日に、工業所有権仲裁センターへ、このドメイン名の移転を求め、仲裁センターは本件ドメイン名を被告に移転せよとの裁定を行った。
原告はこの裁定を不服として、この裁定取消を求めて東京地裁に訴えを起こした。
2.判決
原告の訴えは却下され、仲裁センターの裁定を支持する判決となった。裁判所は、登録の移転が認められるためには、
T)登録者のドメインネームが、申立人が権利または正当な利益を有する商標その他の表示と同一または混同を引き起こすほど類似していること
U)登録者が当該ドメインネームの登録についての権利または正当な利益を有していないこと
V)登録者の当該ドメインネームが、不正の目的で登録または使用されている
ことが必要とされるところ、(I)〜(V)の各項目に該当する全ての事実が認められると認定し、原告は本件裁定に従って、本件ドメイン名の登録を被告に移転する義務を負うとした。
なお、原告はこの他にも「SONYNETBANK.CO.JP」「SONYNETBANK.COM」「ITOYOKADOBANK.CO.JP」
「IYBANK.CO.JP」「FINANCIAL-ONE.CO.JP」等までも登録していたようである。
3.今後の展開
仲裁センターの裁定を不服ととして、「goo.co.jp」事件等、他に2件裁判で争われているが、今後も民間の仲裁センターの裁定を支持する判決がなされると考えられます。
詳しくはこちら
http://courtdomino2.courts.go.jp/chizai.nsf/c617a99bb925a29449256795007fb7d1/a86fb4dbcf89375449256b130035dd94?OpenDocument
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