特許法等の一部改正に関して

2002.7.1
岡本敏夫


1.はじめに

 特許法(実用新案法、意匠法の関連箇所も含む)及び商標法の一部が改正されます。今回の改正は、主に、@ITへの対応、A国際調和の推進及び出願人の負担軽減、B迅速かつ的確な審査の促進を図ると云う趣旨に基づき行われます。

2.主な改正事項
(1)発明の実施規定の明確化(特許法第2条第3項等)
  @「物」に「プログラム等」が含まれることを明確化する。
  A発明の実施行為にプログラム等の「電気通信回線を通じた提供」が含まれることを明確化する。

(2)間接侵害規定の拡充(特許法第101条等)
   間接侵害成立の判断基準として、主観的要件を導入しつつ客観的要件を緩和した規定を追加することにより、間接侵害成立の可能性を拡充する。

(3)先行技術文献情報の開示制度の導入(特許法第36条、49条等)
  @出願人の知っている先行技術文献情報の開示を義務化する。
  A出願人の有する情報の有効活用により審査の迅速化を図る。
  B先行技術を充分に認識することにより厳選された出願を行う。
  C審査管の求めに対し開示が不充分な場合、拒絶理由とする。

(4)明細書からの特許請求の範囲の分離(特許法第36条等)
   特許出願の方式を他の先進国及び国際出願に整合させ、ユーザの出願準備の負担を軽減する。

(5)PCT出願の国内移行期間の延長等(特許法第184条の4等)
   PCT出願の国内移行期間を一律30ヶ月に延長し、さらに外国語でされたPCT出願の翻訳文を、国内書面の提出日から2ヶ月以内に提出可能にする。

(6)標章の使用規定の整備(商標法第2条第3項第2号〜8号)
  @ネットワーク上を流通する商品に標章がデジタル情報として組み込まれている場合も標章の使用に含まれることを明確化する。
  A情報提供サービス等で標章が端末画面等に現れる場合も標章の使用に含まれることを明確化する。
  Bインターネットを活用した広告・契約画面に標章が用いられる場合も標章の使用に含まれることを明確化する。

(7)マドリッド協定議定書に基づく個別手数料の分割納付等(商標法第68条の30等)
   マドリッド協定議定書に基づく国際商標登録出願の個別手数料の支払方法を、分割して支払うこととする。

3.施行時期
 上述の(1)(3)(5)(6)の改正事項の施行期日は、平成14年9月1日です。
 また、上述の(2)(7)の改正事項は、平成14年4月17日から1年以内で政令で定める日から施行されます。
 さらに、上述の(4)の改正事項は、平成14年4月17日から1年6ヶ月以内で政令で定める日から施行されます。

*なお、新旧対称条文等は特許庁のホームページをご覧下さい。

以上

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