早期出願公開制度のご案内

2002.12.3
河野 英仁

1.概要
 特許出願をした場合、特許出願日から1年6ヶ月経過後に出願公開が行われますが、1年6ヶ月経過前であっても出願人の請求により出願公開を行うことができます(2002年1月1日施行)。

2.メリット
 早期に公開することで、他社の模倣行為を早期に防止させることが可能となります。 出願公開がなされた場合、その特許出願に係る発明を実施している者に対し、一定条件下で、警告後から特許権の設定登録までの期間について、いわゆる実施料相当額を請求することができる補償金請求権が発生します。すなわち、特許権は発生していないが、公開された発明を模倣している者に対し、一定条件下で補償金請求権の行使を認めるというものです。
 従って、今までは出願日から1年6月を経過しないと補償金請求権は発生しませんでしたが、公開請求により早期に出願公開がなされますので、これに伴い補償金請求権が早期に発生し、他人の模倣を早期に防止することが可能となります。

3.ポイント
 説明しましたように、早期公開制度は、第3者が出願後すぐに模倣行為を行った場合に効果的です。さらに効果を上げるためには優先審査制度を活用すべきです。優先審査制度は、特許庁に他人の特許出願よりも優先して審査を行ってもらい、早期権利化を図ることができる制度です。
 なお、出願公開請求は取り下げることができませんので、状況を良く把握して請求するようにして下さい。そして、権利化を急ぐ場合は、上述した優先審査制度も活用して下さい(詳細については弊所にお問い合わせ下さい)。


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