特許・実用新案の違いについて

岡本敏夫 2003.2.14


特許・実用新案の違いについて
 今回は、特許・実用新案の主な相違点について御説明します。
一 保護対象の違い
 特許は「物(プログラムを含む)・方法」を保護対象にしますが、実用新案は「物品の形状、構造又は組合せ」を保護対象にします。
 よって「コンピュータプログラム、計測方法、製造方法等」に対するアイデアは、特許として出願する必要がありますが、「日用品の形状、機械の構造、複数品の組合せ等」に対するアイデアは、特許又は実用新案のいずれでも出願できます。
二 権利化に対する違い
 特許は、出願とは別に審査請求と云う手続きが必要となり、審査により特許査定が得られたものだけに特許権が付与されます(但し、登録料必要)。特許の場合、通常、権利化まで最低でも出願から1年以上かかります。
 実用新案は、出願すれば審査されることなく、6ヶ月程度で実用新案権が付与されます(但し、例外的に方式違反等で権利が付与されないものもあります)。
三 権利の存続期間の違い
 特許権は出願日から20年、実用新案権は出願日から6年が存続期間です。
四 費用の違い
 特許は出願費用に加え、権利化に対し審査請求費用、拒絶理由通知に対応する費用等が必要です。実用新案では上記費用は不要ですが、出願時に1〜3年分の登録料が必要となります。
五 権利行使(差止請求・損害賠償請求等)の違い
 特許権の場合、特許庁に対し手続きを行うことなく権利行使可能です。一方、実用新案権は実用新案技術評価を請求(要費用)してからでないと行使できません。さらに、実用新案技術評価の内容によっては、権利行使を断念しなければならない場合もあります。
◆特許・実用新案のどちらを選ぶか◆
 幣所では、権利行使時の安定性を考慮して特許出願をお薦めします。(2000年の出願件数は特許が436,865件、実用新案が9,550件となっており、実績的にも現状では特許出願が多数を占めています。)
 但し、早期権利化を図りたい、権利行使の意思はなく営業的に権利を使用したい(ex.カタログに実用新案取得と云った記載を入れる)場合等には、実用新案として出願する意義があると考えます。


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