知らないうちに著作権侵害者に!

福永正也  2004.2.3 


***動画の安易なダウンロードに注意!!***
 家庭用DVD、パソコン等を利用して、家庭で映画、音楽等を楽しむ機会が増えています。しかし、注意してください。例えば、「マトリックス・リローデッド」「白い巨塔」……など、何者かに違法に複製されてインターネット上に流通しているファイルをダウンロードしていませんか。

***実際に逮捕者も***
 インターネットに接続したパソコン同士で、画像、ソフトウェア等を自由に交換することができる「ファイル交換ソフト」、例えばWinnyを使用しているパソコン台数は、斯かるソフトウェアの使用を推奨するような書籍、情報の氾濫によって昨年度来爆発的に増加しており、その匿名性が強調されたこととも相俟って、著作権者の送信可能化権(著作権法第23条第1項)を侵害して複製された音楽、映画等のファイルが、インターネット上で膨大に流通しています。去る11月27日には、ゲームソフトに関する送信可能化権侵害に伴うファイル交換ソフトを使った著作権侵害の刑事摘発があり、これで2例目の逮捕事例となっています。

***ナップスターの教訓を忘れるな***
 過去にもNapstar」Gnutella」に、代表される音楽ファイル交換ソフトによる音楽配信が、著作権侵害であるとして問題になりました。これらファイル交換ソフトは、インターネット上の個別端末間でファイルを交換することから、利用者が違法行為であることを意識することなく、著作権(送信可能化権)の侵害者となってしまう危険性があります。

***先進的なわが国の著作権法***
 わが国の著作権法は、国際的にも非常に先進的であり、著作権者に送信可能化権を認めています。すなわち、著作権者に無断では、著作物をアクセスに応じた公衆への送信ができる状態に置くことができません。次期法改正では、二次著作者である放送事業者でさえ、送信可能化権を主張することができます。例えば、TVを通じて放送された放送番組をファイル交換ソフトを用いてダウンロードした利用者に対して、テレビ局も送信可能化権の権利行使ができるのです。

***匿名だから安全?***
 ともあれ、ファイル交換ソフトを用いて違法ファイルをダウンロードした場合、著作権(送信可能化権)の侵害者としてダウンロードした者が刑事罰を受けます!(著作権法第119条) コンピュータシステムである限り、完全な匿名性を維持することは困難であり、ファイル交換ソフトも例外ではありません。ゆめゆめ「匿名だから」、「無料だから」といった安易な考えで、無意識に(もちろん意識的にも)著作権侵害者とならないよう、ご注意ください。

◆どんなケースが著作権の侵害行為になるのか等に関しましては、お気軽に河野特許事務所まで御連絡下さい。

以 上

Copyright 2004 KOHNO PATENT OFFICE