「Google」の知的財産戦略
  

河野 英仁 2004.6.1       


.検索サイトのトップランナー「Google」
  検索サイトといえばGoogleを思い浮かべる人は多いでしょう。スタンフォード大博士課程のLarry PageとSergey Brinが1998年にGoogle社を設立して以来、検索結果に基づく広告表示による収入で、急激に成長し現在では多くの国で検索サービスを提供しています。また同社は本年5月に米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)を申請し、投資家の注目を集めています。このニュースでは同社の特許、商標などの知的財産戦略についてレポートします。

.検索技術に関する特許が多数成立
  会社設立後数年を経た2000年以降、検索技術に関する特許を申請し始めるようになり、現在では6件の米国特許が成立しています。例えば2003年3月には「曖昧なサーチクエリーに対して検索結果を提供するために変更されたインデックスを用いる方法及び装置」であるU.S Patent 6,529,903が成立しています。これは、通常のインデックスとは異なる曖昧検索用の第2インデックスを用意しておき、検索用語が入力された場合、マッピング情報を用いて曖昧検索用の第2の検索用語へ変換し、第2インデックスを用いてユーザに検索結果を返すものです。この他、U.S Patent 6,678,681「データベースからの情報抽出」等、基本となる検索技術特許が成立しています。

.新規サービスも全て商標登録する
  一方、商標に関しても抜かりなく権利化を図っています。おなじみの「Google」マークは米国で商標登録済みです。また日本においても2001年に商標「GOOGLE」を登録しています。ユーザ間でやりとりされるメールの内容に応じて最適な広告を提供する新規サービス「G-Mail」についても2004年4月に米国で商標登録を受けています。

.知的財産権は大企業に対抗する武器となる
  ベンチャー企業が設立当初から多数の特許を申請するということは資金面から容易なことではありません。しかし、Google社がこのように特許及び商標を多数取得しているのはなぜでしょうか。他の検索サイトYahoo社の存在、またMicrosoft社が自社の検索エンジン機能を強化すべく開発している状況において、Googleが検索エンジンのトップランナーであり続ける保証はどこにもありません。つまり、Googleは知的財産権が、大企業に対抗する大きな武器になると認識しているのです。

以 上

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