特許、意匠、商標、著作、営業秘密?
  

河野 英仁 2004.11.1


 日常の製品開発過程で生まれた知的財産を権利化し、企業の財産としていくことが重要となってきています。知的財産権と言えば特許権(実用新案権)、意匠権、商標権、著作権などが思い浮かびます。しかし、製品によってはどの権利により保護を求めて良いか困難な場合があります。今月のKRPニュースはこの点について簡単に説明します。

◆まずは特許取得の可能性から考えましょう!

 例えば製品が機械の構造であり、技術的にもデザイン的にも優れている場合は、特許権、意匠権または著作権を取得することを考える必要があります。この場合、どのような手続きが必要となるでしょうか。一般には機械構造の図面を記載した上で特許出願を行うのが原則です。これは特許権の保護の方が意匠権の保護よりも強いからです。その一方で特許権を取得することは意匠権を取得することよりも困難であるため、特許権取得が困難と考えられる場合は、意匠登録出願に変更することも可能です。デザイン的側面が強い場合は著作権としての保護を考えます。著作権は登録しなくとも著作した時点で権利が発生しますが、文化庁への登録申請により一定の効果が認められるため登録手続きを行う方が賢明です。

◆コンピュータプログラムについて

 またコンピュータプログラムは著作権により、またそのアイデアについては特許権により保護を受けることが可能です。これらの保護を受けるためには技術内容を開示することが必要です。しかしプログラムのソースコードを開示したくない場合は不正競争防止法上の営業秘密として保護を受けることも可能です。この場合その技術が、@秘密として管理されていること、A事業活動に有用であること、及びB公然と知られていないこと3要件を満たす必要があります。

◆商標権について

 また製品の商品名については商標権により保護を受けますが、立体的なものも立体商標として登録を受けることが可能です。例えば、店頭に設置されている人形などが該当します。この場合、意匠権または著作権による保護も視野に入れなければなりません。

以上説明しましたように、知的財産の保護には多くの手段があり、製品の特性、権利の強弱、権利期間等を総合的に判断する必要があるといえます。

以 上

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