特許権無しでも模倣品を差し止め
(不正競争防止法について)

岡本 敏夫 2004.12.1


「不正競争防止法」という法律をご存知でしょうか。

 「不正競争防止法」とは、営業者間での不正な競争を防止することにより、営業上の利益を保護し、これを通じて公正な競争を図ることを目的に制定された法律のことです。
・「不正競争防止法」は、特許法、実用新案法、意匠法、及び商標法のように独占排他的な権利を取得することで他人の行為を排除するものではありません。
 そのため、特許権のような権利を取得していなくても、「一定の不正競争」に当てはまる行為に対して、不正競争防止法により「差し止め」「損害賠償」が認められることがあります。
「一定の不正競争」に当てはまる例としては、以下のような行為があります。
 (1)ユーザの間で広く知られている「氏名」「商号」「商品の容器」などと同一又は類似するものを第3者が用いることで、商品又は営業上の混同を生じさせる行為(不正競争防止法2条1項1号)。
 (2)他人の「商品の形態」を模倣した商品を第3者が販売する行為(不正競争防止法2条1項3号)。
 (3)コンテンツを提供する会社が使用しているコピーガード機能を解除する装置を販売する行為(不正競争防止法2条1項10、11号)。
 (4)不正の利益を得る目的、又は他人に損害を加える目的で、他人の「氏名」「商号」などと同一又は類似のドメイン名を使用する権利を取得する行為(不正競争防止法2条1項12号)。
 (5)ライバル関係にある企業に対して営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為(不正競争防止法2条1項14号)。
 よって、特許権、実用新案権、意匠権を取得していない製品の形状、デザインなどを模倣した製品を第3者が製造・販売した場合、不正競争防止法により防止できることがあります。
 また、商標権を取得していない有名な店名、ネーミングと同一又は類似する名称を第3者が用いる場合も同様に防止できることがあります。
 さらに、「A社の製品は我社の特許権を侵害している」というような虚偽の事実を得意先又は顧客へ言いふらされた場合も、虚偽の事実を言いふらした者に対して不正競争防止法により損害賠償を請求できることがあります。

◆不正競争防止法のさらに詳しい内容につきましては、河野特許事務所までお問い合せ下さい。

以 上

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