ソフトウェアに特許は不要でしょうか?

福永 正也 2005.6.1


ソフトウェアは特許による独占排他権による保護が必要でしょうか。それともいわゆる「オープンソフトウェア」として自由な使用、改変を認めるべきものでしょうか。

1.オープンソフトウェアの「オープン」とは

 まずオープンソフトウェアって、何がオープンなのでしょうか。一般には、フリーソフトウェアにおける4つの自由、すなわち(1)プログラムを実行する自由、(2)プログラムに改変を加える自由、(3)コピーを再頒布する自由、(4)改良点を公衆に発表する自由を認めていることが、オープンソフトウェアの基本と考えられています。ただし、ソフトウェア開発者が「このソフトウェアはオープンだ!」と叫んだところで、創作時点で著作権は発生し、改変を加えられた二次著作物にも著作権が発生します。したがって、著作権に関する契約行為が無い場合、原著作権者であっても二次著作物に係る著作物を自由に使用することができない場合も生じるのです。

2.GPL(General Public License)による保護

 そこで、原著作権者が著作権を放棄することなく、上述した4つの自由を担保することを目的としたライセンス手法の1つがGPLです。GPLは、原著作権者が著作権を放棄することなく、創作したソフトウェア及び二次著作物に対して第三者に使用、改変、再頒布の権利を与え、頒布された第三者にも、 該頒布条件を維持することを条件に、創作したソフトウェア及び二次著作物に対して複写、改変の自由を付与するライセンスを与えるものです。

3.GPLと特許権

 しかし、GPLは著作権との関係については規定されていますが、特許権との関係については、特段の規定が存在しません。したがって、第三者に係る特許が創作したソフトウェア又は二次著作物に含まれている場合、特許権者はGPLに拘束されることなく特許権を行使することができます。すなわち、 GPLと無関係にソフトウェアに関する特許権が存在する以上、GPLだけでは特許権に対抗する手段として不十分なのです。 GPLに類似するライセンス手法で特許権との関係を整理しようという試みもありますが、現状ではまだ不十分です。安全なソフトウェア開発、販売を継続するためにも、特許取得の可能性は継続的に検討すべき課題と言えるでしょう。また、創作年月日、第一公表日等の法的根拠として、ソフトウェアの著作権登録の活用もご検討ください。

◆ソフトウェア開発・販売時の法的注意点、著作権登録等の詳細に関しましては、お気軽に河野特許事務所まで御連絡下さい。

以 上

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