特許権侵害の警告書が突然届いた!
どうすればいいの?
野口 富弘 2005.8.1
ある製品の製造販売が開始されて数年後、販売実績も好調に推移していた矢先、競業メーカーから、特許権侵害の警告書が届きました。さあ、どうすればよいでしょうか? 特許権侵害の成否の判断、警告者との交渉などにおいて専門的知識が要求されます。まずは、弁理士、特許権侵害訴訟に詳しい弁護士などの専門家に相談し、そのアドバイスに従って、以下のような対応をとります。 ☆警告書の内容を検討 @警告者の意図を把握する 特許紛争の契機の多くが、権利者が市場から侵害品を駆逐すること、又は所有する特許権を活用してライセンス料を得ることにあります。専門家とともに、警告者の意図を見極めることで、紛争解決の落着点の判断材料が得られます。 A警告者の特許権に無効理由がないか調査依頼する 専門家は、特許許公報、特許製品に関連する雑誌、論文などの技術資料などを収集し、無効理由の有無を判断します。 B先使用による通常実施権の有無を確認する 実施製品が特許発明の技術的範囲に属すると判断された場合は、製品の製造販売又はその準備が、警告者の特許出願日よりも前であるか否かを確認します。特許権に対する抗弁が認められる場合があるからです。 ☆具体的措置 @回答書を送付する 特許権侵害がないと判断した場合、回答書でその理由を主張します。十分な反論を示すことで、警告者に訴訟手続を躊躇させることがあります。 A設計変更、侵害停止措置をする 特許権を侵害する、との判断に至った場合、又は特許権侵害の成否は争えるものの経営判断により紛争回避が得策と判断される場合は、製品の製造・販売を停止し、又は特許権侵害を回避すべく製品の設計変更をします。 B示談交渉をする 回答書を送付した後、警告者との間で訴訟手続を回避するための交渉が行われる場合が多く、落着点の許容範囲を把握した交渉戦略を練ることが重要です。 C訴訟手続の準備 交渉決裂に至った場合、訴訟手続のための資料、証拠を準備します。また、訴訟が提起された場合において、警告者の特許権に無効理由が存在すると判断したときは、無効審判を請求します。 |
以 上 |