2005年7月、欧州議会はソフトウェア特許指令案を否決しました。一見すると、ソフトウェア特許は、欧州で認められないのでは、と誤解を招きかねません。しかし、欧州におけるソフトウェア特許の保護は従来と何ら変わることはありません。
欧州特許条約52条(2)では、ソフトウェア(Programs for computers)を特許対象から除外すると規定しています。今回の指令案はこの条項を削除し、ソフトウェア(コンピュータプログラム)そのものを特許の対象にしてしまおうとするものです。この条項が存在したとしても、以前からソフトウェア特許は間接的に保護されていました。すなわち、ソフトウェアの「プロセス」または、当該「プロセスを実行するコンピュータ」として、間接的にソフトウェア特許の取得が可能でした。さらに、日本においては、2001年1月以降、コンピュータプログラムそのものを保護するようになりました。米国では1995年からプログラムが記録された記録媒体(CD-ROM等)を直接保護しています。
欧州においても、日米との足並みをそろえるべく、法改正を試みましたが、オープンソースソフトウェアを支持する団体の反対もあり、否決されたというわけです。結論から言えば、ソフトウェア特許は、欧州においても今までどおり、保護されますが、日米と比較して、その保護レベルは劣るということになります。例えば、第3者が特許をまねたソフトウェアをCD-ROMで販売、またはインターネットを通じて配信した場合、日米では明らかに特許侵害となりますが、欧州では必ずしも特許侵害を問えるかどうかは分かりません。しかし、欧州における過去の判例との兼ね合いにより、近い将来この議論が再燃することは必至でしょう。
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