特許法改正のポイント

 

廣田 由利 2006.8.1


 改正特許法が、2006年6月経済産業省により公布されました。以下に主な改正のポイントを説明します。なお、施行は2007年4月1日の予定です。

(1)出願の分割の時期的制限が緩和されます。
  従来は、特許査定時の特許請求の範囲が十分に実効的でない場合、また、特許請求の範囲が不適切であったために拒絶査定された場合においては審判を請求しない限り、出願を分割し、適切な特許請求の範囲で再度、権利取得を図ることが出来ませんでした。
 そこで、特許査定後、又は拒絶査定後の謄本送達後30日以内であれば、出願の分割を可能とすることにしました。但し、特許査定後においては、設定登録前に限るという制限があります。

(2)分割出願に、補正の制限が課されます。
  分割出願の特許請求の範囲には、もとの特許出願の審査において拒絶理由が通知された発明と同一の発明を含めることが出来ます。この分割出願は、拒絶理由を有することになり、1回目の拒絶理由が通知されますが、今回の改正により、1回目の拒絶理由通知であっても、最後の拒絶理由通知がされた場合と同様の補正の制限が課されることになりました(最後の拒絶理由が通知された場合には、1回目と比較して、補正出来る内容がかなり制限されています)。

(3)別発明に変更する補正が禁止されます。
  従来は、拒絶理由通知を受けた後に、特許請求の範囲を技術的特徴の異なる別発明(1願書で出願出来る「発明の単一性」の要件を満たさない発明)に変更することにより、実質的に2件分の審査を受けることが可能となっており、審査前に特許請求の範囲を絞り込んでいる出願人と不公平が生じていました。
 今回の補正により、この場合には拒絶の理由が通知されることになりました。なお、このことが看過されて特許されたとしても、無効理由とはなりません。

(4)外国語書面出願の翻訳文提出期間が延長されます。
 外国語書面出願の翻訳文提出期間が、「わが国出願日から2月以内」から「出願日(パリ優先権を伴う出願の場合は優先日)から1年2月以内」に、延長されます。

◆ 改正法についてご不明な点がございましたら河野特許事務所までお気軽にお問い合わせください。

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