お隣に同一商号の会社がやって来た!
=類似商号制度の廃止に伴う商号の保護=

 

岡田 充浩 2006.9.1


1.はじめに
 今般の商法等改正で類似商号制度が廃止されたことにより、同一商号の同業者が近所に出現する虞が出てきました。そこで、商号の保護について説明します。

2.類似商号制度の廃止について
 従来、商法第19条で同業者の同一商号・同一市町村内での登記を禁止し、商業登記法第27条で同業者の同市町村内での他人と判然区別不可能な商号の登記を禁止していましたが、今般、商法第19条が廃止され、商業登記法第27条が「商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあつては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない。」に改正されました。従って、例えば、同一商号の同業者であっても同一住所でない限り商業登記が可能となりました。

3.類似商号制度の廃止に伴う商号の保護手段
 商号を保護するものとして、商標法又は不正競争防止法に基づく手段があります。
@商標法に基づく手段
 商標登録して商標権を取得すれば、同業者の同一商号の使用を同一市町村のみならず全国で禁止できます。但し、商標は「他人と識別できる」必要があり、例えば、「田中産業株式会社」からなる商号はありふれた名称であって他人との識別ができないから原則として商標登録されません。また、従来は異なる市町村で同一商号を登記していた同業者に先に商標登録されてしまうと原則として商標登録されません。
A不正競争防止法に基づく手段
 同業者に自己の周知な同一商号を使用され出所混同が生じたか(不競法第2条第1項)、又は、自己の著名な同一商号を使用された場合(同第2条第2項)、当該同業者に対して不競法に基づく業務の差止又は業務上の損害賠償を請求することができます。但し、不競法は保護すべき商号を周知・著名なものに限定しているから、消費者に名が知れ渡っていない商号は保護されません。

4.御相談承ります
 前記保護手段以外にも、商号の保護手段があります。商号の保護に関する御相談が御座いましたら、お気軽に河野特許事務所までご連絡下さい。

以 上

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