学会・新聞発表が先か、特許が先か
−−−特許法30条を信じるな−−−

 

河野 英仁 2006.11.1


 特許法においては、出願前に公知となった技術については、特許を受けることができません。これは新規性と呼ばれ特許法第29条第1項に規定されています。従って、出願前にアイデアを新聞、雑誌、学会、博覧会またはインターネット等で発表した場合は、原則として新規性を喪失し特許を受けることができません

 新規性に関しては救済措置があり、新規性喪失の例外の証明書を特許出願日から30日以内に提出することにより、発表後6月以内に特許出願をした場合に限り、新規性が喪失していないものとみなされます(特許法第30条)。つまり発表しても6月以内に出願すれば良いわけです。

 例外適用を受ける場合、発表日、刊行物名、URL、学会名、博覧会名等を明記すると共に、学会論文等の写しを提出する必要があります。なお、対象となる学会名及び博覧会名は特許庁ホームページに掲載されています。

 しかしこの例外適用は、例外中の例外と考えた方が良いでしょう。まず、第1に、第3者が似たようなアイデアを先に出願する虞があります。また、この例外規定による救済を認めている国は、日本及び米国(1年以内)等と少ないのが現状です。よって、外国でのマーケット展開を考えている場合、日本における自らの発表によって、外国特許を取得できなくなるという問題が発生します。

 従って、企業内または大学内における発明者には、発表前に出願を完了させておくことが原則であることを十分に周知徹底させる必要があります。特に、製品発表前及び学会発表前には、発表内容が漏れなく特許出願されているか否かを確認する必要があります

◆ 新規性喪失の例外適用手続の詳細につきましては弊所弁理士までお問い合わせください。

以 上

Copyright 2006 KOHNO PATENT OFFICE