〜ビジネス関連発明でビジネスを独占できる〜
 

野口 富弘 2007.3.1


 多くの発明は従来の技術を組み合わせることで生まれ、新規性、進歩性などをクリアすれば特許になります。例えば、従来からあるWebサービスを組み合わせて新たなサービスを生み出す工夫で特許を取得できれば、そのサービスを使ったビジネスを独占することが可能です。しかし、ビジネス方法をコンピュータ上で具体的に実現したビジネス関連発明の特許査定率は全分野平均の約50%に比べて約8%と低い状況です。 そこで、ビジネス関連発明で特許を取るために留意する点を進歩性という切り口で、いくつかご紹介しましょう。

☆機能又は作用が共通する手法の他の分野への適用でないこと
 適用分野に関わらず機能又は作用が共通している手法を他の分野に適用しても特許になりません。例えば、航空券の予約サービスシステムの機能又は作用に汎用性がある場合には、このシステムをホテルの予約サービスに適用するだけでは、サービスを実現することができたとしても、特許を取ることはできません。例えば、ホテルの予約サービスに特有の方法をコンピュータ上で具体的に実現する新たな工夫が必要です。

☆周知慣用手段の付加でないこと
 システムの構成要素として通常用いられる周知慣用手段を付加するだけでは特許になりません。例えば、発明のポイントが、データ処理一般に用いられる変換テーブルを付加した点だけの場合には特許を取ることはできません。システムの構成要素が、従来にない特有のデータ処理を行うものであることが必要です。

☆人間が行っている業務のシステム化でないこと
 特定分野において人間が行っている業務を通常のシステム設計手法を用いてシステム化し、コンピュータにより実現できたとしても特許になりません。例えば、買い物金額に応じてポイントを発行する業務を、ICカードを用いてコンピュータによりポイントの発行を行うようにシステム化することは通常のシステム設計手法に相当します。このような場合、例えば、公知でないシステム化技術を用いる工夫が必要です。

☆公知のビジネス方法と公知の情報処理システムの単なる寄せ集めでないこと
 公知のビジネス方法をシステム化し他の公知の情報処理システムと単に組み合わせても特許になりません。例えば、公知のポイントサービスをシステム化し公知の電子プリペイドカードシステムを組み合わせるような場合です。組み合わせることに技術的な阻害要因があって、それを解決する工夫があれば特許になる可能性があります。

◆ビジネス関連発明については、お気軽に河野特許事務所までお問い合わせください。
以 上

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