〜特許侵害で15億ドル支払い命令〜
 

河野 英仁 2007.4.2


 損害賠償金5800万ドル支払え。損害賠償金15億2000万ドル支払え。高額な特許権侵害に基づく損害賠償額の支払い判決が、米国で相次いでなされています。
 前者は米Verizonが特許権侵害でインターネット電話サービスプロバイダのVonageを訴えた事件の判決です。米国連邦地裁は、2007年3月特許権の侵害を認め、Vonageに5800万ドルの支払い命令をなしました。また後者はフランス通信機器大手アルカテル・ルーセントが、マイクロソフト(MS)を訴えた事件です。地裁は、2007年2月特許2件の侵害を認定し、MSに15億2000万ドルの損害賠償の支払いを命じる判決をなしました。

 このMSに対する支払額は過去最高額((ポラロイドvコダック)では8億7300万ドル)です。これに比べればvonageの5800万ドルは少額ですが、ベンチャー企業であるvonageは開業以来黒字を出しておらず、敗訴が確定すれば壊滅的となります。

 米国に進出している日本の企業も例外ではありません。最近では、米イマージョン社が、振動型コントローラの特許侵害であるとしてソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)を訴えました。事件は最終的には和解という形で収まりましたが、地裁ではSCEの特許権侵害を認め、SCEに8200万ドルの支払い命令がなされていました。

 このように非常に高額な賠償金命令がなされるのは、1980年以降の米国のプロパテント政策によるものです。特許が非常に重視され、故意侵害の場合は賠償金が最高3倍まで引き上げられます。そのため米国で製品を販売する際は、先行技術調査を十分に行う必要があります。また他社特許と抵触するおそれがある場合は、3倍賠償を防止するために特許弁護士による鑑定を得ておく必要があります。
◆米国特許に関してご不明な点は弊所弁理士までお問い合わせください。
以 上

Copyright 2007 KOHNO PATENT OFFICE