〜他社が特許発明品を製造・販売!
どうしますか?〜
 

廣田 由利 2007.5.1


 他社が特許発明に係る製品を製造・販売している場合、原則、特許権を侵害することになります(特許法第68条)。さあ、どうしますか?

☆事前の警告
 他社品を入手して構造・組成を調査し、特許発明の技術的範囲(権利範囲)に属するかどうかを判断し、属すると判断した場合は、特許権の存続期間を確認した上で、他社に対し、製造・販売行為が特許権の侵害行為であることを提示した警告書を送ります。他社が実施の許諾を求めてきて、円満に解決される可能性があり、解決できなかった場合は、他社からの返答により、訴訟提起時の他社の反論を予想することができます。

☆訴え提起前に、事前準備
 警告後も他社が製品の販売を止めない場合、特許の無効理由の有無、訴訟の経済性(訴訟費用、市場での優位性、損害賠償額等)を考慮した上で、訴訟の準備をします。可能であれば、他社が先使用権を有していないか等の調査もします。

☆差止請求訴訟の提起
 他社の以後の製造・販売を差し止めるために、東京地裁又は大阪地裁に差止請求訴訟を提起します。この場合、仮処分の申請をするのが有効です。仮処分が認められる決定がなされると、訴訟の判決が確定する前に、暫定的に他社品の製造・販売を差し止めることができるからです。他社は在庫品の廃棄等をしなければならなくなるので、和解が成立する可能性も高くなります。但し、あとで特許が無効であることが分かった場合、他社に対し、損害を賠償する責任が生じることがあります。

☆損害賠償請求訴訟の提起
 他社品の製造・販売により受けた損害の賠償を求めて訴えを提起します。特許権侵害においては、損害額を立証することは困難であり、特許法には民法の特別規定として、損害額を推定するための規定がありますので(特許法102条等)、これを利用するとよいでしょう。

◆特許権侵害に関するご相談は、お気軽に河野特許事務所までお問い合わせください。
以 上

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