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執筆者 弁理士 河野英仁
2010年1月13日
1.概要 実用新型(日本の実用新案に相当する)は中国において発明創造の一つとして出願でき、(専利法第2条*1)、実質審査を経ることなく、実用新型特許が成立する(専利法第35条)。 日本においても実用新案は無審査で登録されるが(実用新案法第14条第2項)、実用新案権に基づく権利行使の際に、実用新案技術評価書の提出が必要とされる(実用新案法第29条の2*2)。さらに実用新案技術評価書を提示して権利行使したとしても、当該実用新案権が無効となった場合は、被告に与えた損害を逆に実用新案権者が負うことになる(実用新案法第29条の3*3)。 以上の理由により、日本では実用新案による権利化・権利行使のニーズは著しく低下しているが、中国においては逆に有効活用されている。実用新型に基づく特許出願件数は、2008年度で約22万件*4と極めて多く、また人民法院が第1審として受理した実用新型特許侵害事件は2008年度で約1600件にも達している*5。日本における知的財産関係民事事件全体の第1審受理件数が2008年度では500件以下であることからすれば*6、中国での実用新型特許制度自体が如何に権利創出・権利行使の両面で有効に機能しているかが理解できる。 本事件においては、原告は実用新型特許に基づく特許権侵害を主張し、北京市第一中級人民法院へ提訴した。北京市第一中級人民法院は原告の訴えを認めた*7。被告はこれを不服として北京市高級人民法院へ上訴したが、北京市高級人民法院は、後に無効とされた一部の請求項を除いて、特許権侵害を認める判決をなした*8。 2.背景 日本の泉株式会社(以下、原告という)はプロジェクタ用の可搬式スクリーン装置に関するCN2729763(以下、763特許という)実用新型特許権を所有している。原告は日本における特許出願(特願2003-372909)を基礎として、2004年4月中国に実用新型特許出願を行った。出願番号はZL200420042456.6であり、2005年9月28日に登録された。 原告は、広州美視有限公司(以下、被告Aという)が製造するプロジェクタ用の可搬式スクリーン装置(以下、イ号装置)が、北京において仁和世紀科技有限公司(以下、被告Bという)により販売されていることを発見した。参考図1は被告Aの商品紹介HPである。 参考図1 被告Aの商品紹介HP(http://www.grandview.com.cn/) 2010年1月11日 2006年7月25日原告は被告Bからイ号製品(商品名:WM-S80)を公証人の立ち会いの下、1250元で購入した。原告は両被告が原告の実用新型特許の請求項5及び12を侵害するとして北京市第一中級人民法院へ提訴した。 763特許の請求項5は独立請求項3に従属する従属請求項4の従属請求項である。また請求項12は、独立請求項7に従属する従属請求項11の従属請求項である。請求項の内容は以下に示すとおりである。参考図2乃至4は763特許の図1~図3である。なお、筆者において図面の番号を請求項中に付した。 本発明のポイントは以下のとおりである。スクリーン4をケーシング1へ収納する際、トップバー5はケーシング1上部で蓋として機能し、さらにケーシング1上でロックされる。また支柱6Aは下方へスライドし、横方向へ倒すことでケーシング1に固定される。これにより、持ち運びが容易になるというものである。 3.長手方向に延在する開口部を上面に有するケーシング1と、該ケーシング1に回動自在に取り付けられたスプリングロールと、収納時には上記スプリングロールに巻回され、使用時には上記開口部から巻き出されるスクリーン4と、該スクリーン4の一端を固定するトップバー5と、巻き出した前記スクリーン4を展張状態に保持する支柱6Aとを備える可搬式スクリーン装置P1であって、 前記ケーシング1は、長手方向に延在し分離可能な第1ケース部材1a及び第2ケース部材1bを備え、 前記トップバー5は収納時に、前記開口部を塞ぐ蓋体を兼ね、 前記支柱6Aの一端を前記ケーシング1の側面中央部に起伏可能に軸支し、前記支柱6Aは伸縮可能に構成され、起立時には巻き出したスクリーン4を展張状態に保持する。 4.前記ケーシングは、第1ケース部材1a及び第2ケース部材1bの幅方向の一端を連結する一方、前記開口部を形成可能に幅方向の他端を互いに離間配置してある 請求項3に記載の可搬式スクリーン装置P1。 5.前記トップバー5の中央部にハンドル部24を設ける一方、前記支柱6Aの先端部にフック7a部を設け、前記ハンドル部24を前記フック部7a上に掛止する 請求項3または4に記載の可搬式スクリーン装置P1。 7.長手方向に延在する開口部を上面に有するケーシング1と、該ケーシング1に回動自在に取り付けられたスプリングロールと、収納時には上記スプリングロールに巻回され、使用時には上記開口部から巻き出されるスクリーン4と、該スクリーン4の一端を固定するトップバー5と、巻き出した前記スクリーン4を展張状態に保持する支柱6Aとを備える可搬式スクリーン装置P1であって、 前記ケーシング1は、長手方向に延在し分離可能な第1ケース部材1a及び第2ケース部材1bを備え、 前記支柱6Aの一端を前記ケーシング1の側面中央部に起伏可能に軸支し、前記支柱6Aは伸縮可能に構成され、起立時には巻き出したスクリーン4を展張状態に保持し、 収納時に、前記トップバー5は前記開口部を塞ぐ蓋体としてあり、かつ、該蓋体はロック機構8を利用し、前記トップバー5を前記ケーシング1上に固定する。 11. 前記ロック機構8は、前記トップバー5上に配設される係合部9と、前記ケーシング1に配設され前記係合部9と係合する被係合部10とを備える 請求項7乃至10のいずれか一つに記載の可搬式スクリーン装置P1。 12. 前記係合部9は、前記トップバー5の幅方向に対して対向配設された一対の係合部材12,13を有し、一方、前記被係合部10は前記ケーシング1の対向する開口縁部にそれぞれ配設され前記係合部材12,13に対し係合する一対の被係合部材15,16である 請求項11に記載の可搬式スクリーン装置P1。 参考図2 763特許の図1 参考図3 763特許の図2 参考図4 763特許の図3 被告はロック機構8の具体的な構成が相違し、イ号製品は請求項5または12の技術的範囲に属さないと主張したが、北京市第一中級人民法院は、イ号製品が請求項5または12の全ての技術的特徴を備えるとして権利侵害を認め、被告Aに対しイ号製品の製造・販売の即時停止、被告Bに対し販売の即時停止を命じた。また、北京市第一中級人民法院は、原告の経済的損失及び合理的支出として12万元(約170万円)を支払うよう命じた。被告Aはこれを不服として北京市高級人民法院へ上訴した。 3.人民法院での争点 争点1:権利の有効性はどのように判断するか? 実用新型特許は無審査で登録されるため、無効理由を含む場合が多い。訴訟において権利の有効性はどのように判断されるか、検索報告はどのように用いられるか、また、審理中に特許無効の主張が可能か否か問題となった。 争点2:イ号製品は技術的範囲に属するか? イ号製品が請求項に記載の全ての技術的特徴を備える場合、特許権侵害が成立する。被告Aは、権利範囲は図5(参考図5参照)に記載した形態に限定解釈されると主張した。人民法院が実用新型特許に係る権利範囲をどのように解釈するかが問題となった。 参考図5 763特許の図5 争点3:請求項の一部が無効となった場合、損害賠償額は減額されるか? 本事件では第1審である中級人民法院において、請求項5及び12の実用新型特許権侵害が認められ、損害賠償額として12万元(約170万円)が認定された。第2審である高級人民法院は、請求項5が無効決定を受けた事から、請求項12についてのみ実用新型特許権侵害を認めた。この場合、対象となる請求項数が減ったことから、損害賠償額も減額すべきか否かが問題となった。 4.人民法院の判断 争点1:人民法院は、特許は有効であるとして審理を進行する。 人民法院は、復審委員会(日本の審判部に相当する)による無効決定(専利法第46条第1項)*9がなされない限り、権利は有効なものとして審理を進め、請求項12についての特許侵害を認めた。 原告は権利の有効性を確認すべく知識産権局に対し、事前に検索報告(日本の実用新案技術評価書に相当)の請求を行った。知識産権局は、検索の結果U.S. Patent No. 6,249,377により、請求項1,3,7,11については新規性なし、請求項2,4,8,17,18,21については創造性(日本の進歩性に対応)なしとの報告書を作成した。これにより原告は有効である請求項5及び12を用いて権利行使した。 なお、検索報告は第3次専利法改正により特許権評価報告という名称に変更された。特許権評価報告に関する規定は専利法第61条第2項である。専利法第61条第2項の規定は以下のとおり。 専利法第61条第2項 特許権侵害の紛争が実用新型特許又は外観設計特許に関わる場合、人民法院又は特許管理工作部門は、特許権者又は利害関係者に、国務院特許行政部門により係争実用新型又は外観設計に対する調査、分析及び評価の上で作成された特許権評価報告を提出するよう要求し、それを特許権侵害の紛争を審理、処理するための証拠とすることができる。 日本における実用新案技術評価書制度とは異なり、「人民法院は証拠とすることができる」と規定するのみであり、特許権評価報告の提出は任意である。ただし特許権評価報告を提出しない場合、被告の無効宣告請求を理由に訴訟が中止される可能性が高くなることから、実務上は権利の有効性を示す証拠として提出することが多い。 なお、第61条に「審理、処理するための証拠とすることができる」と規定されているように、特許権評価報告はあくまで一証拠にすぎず、特許権評価報告自体には何ら法的拘束力はない。 第1審において被告Aは請求項5及び12は創造性がなく特許は無効であると主張したが、中級人民法院は復審員会による無効決定がなされていないことから、請求項5及び12は有効なものであるとして審理を行った。中国においては日本とは異なり、人民法院内での特許無効の主張は一切認められない。 被告Aは第1審判決後、無効宣告請求(日本の無効審判請求に相当)を行った。復審委員会は、請求項1-6は無効、請求項7-12は有効との決定をなした。原告は当該決定を受けて、復審委員会による審理中に請求項1-6を削除する補正を行った。なお、中国においては日本国特許法第126条に対応する訂正審判制度がなく、無効宣告請求審理中に、請求項の削除・併合・技術手段の削除を目的とする補正のみが可能である(審査指南第4部分第3章4.6)。 被告Aは第2審において、請求項1-6に対する無効決定を証拠として提出したことから、高級人民法院は請求項1-6に対する侵害の求めを認めなかった。高級人民法院においては請求項7-12に対する特許権侵害の存否が問題となった。 争点2:特許請求の範囲は実施例の記載に限定されない。 高級人民法院は請求項12に対する実用新型特許権侵害を認めた。争点となったのは請求項12(請求項7,11の従属)の以下の部分である。 請求項7「該蓋体はロック機構8を利用し、前記トップバー5を前記ケーシング1上に固定する。」 請求項11「前記ロック機構8は、前記トップバー5上に配設される係合部9と、前記ケーシング1に配設され前記係合部9と係合する被係合部10とを備える」 請求項12「前記係合部9は、前記トップバー5の幅方向に対して対向配設された一対の係合部材12,13を有し、一方、前記被係合部10は前記ケーシング1の対向する開口縁部にそれぞれ配設され前記係合部材12,13に対し係合する一対の被係合部材15,16である」 被告は、イ号製品が請求項に記載のロック機構8を除いて、全ての技術特徴を備える点認めている。 高級人民法院は、請求項12に係るロック機構8は、トップバー5上に配設される係合部9と、ケーシング1に配設され前記係合部9と係合する被係合部10とを備え、前記係合部9は、前記トップバー5の幅方向に対して対向配設された一対の係合部材12,13を有し、一方、前記被係合部10は前記ケーシング1の対向する開口縁部にそれぞれ配設され前記係合部材12,13に対し係合する一対の被係合部材15,16を有するものと認定した。 高級人民法院は、イ号製品のロック機構を以下のとおり認定した。イ号製品は、トップバーの幅方向に対して対向配設された一対の係合部材、及び、前記ケーシングの対向する開口縁部にそれぞれ配設された他の一対の係合部を通じて、相互に係合し、これによってロックトップバーとなる。 その中で、 イ号製品「前記トップバーの幅方向に対して対向配設された一対の係合部材」は、本特許中の「トップバー5上に配設される係合部9」に対応し、 イ号製品「前記ケーシングの対向する開口縁部の他の一対の係合部」は、本特許中の「ケーシング1に配設され前記係合部9と係合する被係合部10」に対応する。 そして、両係合部は係合を通じてロックされる。 以上のことから、高級人民法院は、イ号製品のロック機構は請求項12に記載のロック機構の技術特徴を全て具備すると判断した。 被告Aは、請求項7,11,12にいうロック機構8の構造は実施例及び図5に記載した具体的な形状に限定解釈されるべきであり、限定するとすればイ号製品は技術的特徴を備えず、特許権侵害は存在しないと主張した。 高級人民法院は専利法第59条*10の規定に基づき、実用新型の権利範囲は請求項の内容を基準とすべきであり、明細書中の図面5は具体的実施例に過ぎず、必ずしもその記載をもって限定し、保護範囲を縮小することはできないと判示した。そして、イ号製品は請求項12の技術的特徴を全て備えることから、技術的範囲に属すると判断した。 これに対し、被告Aは現有技術の抗弁(日本の自由技術の抗弁に相当)を行った。すなわち専利法第62条の規定に基づき、イ号製品が現有技術に属する場合、特許権侵害は成立しない。専利法第62条の規定は以下のとおりである。 専利法第62条 特許権侵害紛争において、侵害被疑者が、その実施した技術又は設計が従来の現有技術又は現有設計であることを証明できる場合、特許権侵害に該当しない。 ここでいう現有技術とは専利法第22条第5項に規定されている。 専利法第22条第5項 本法にいう現有技術とは、出願日前に国内外で公衆に知られている技術をいう。 被告Aは、イ号製品は2つの公知文献を証拠として提出し、これらの組み合わせにより創造性がないと主張した。しかし高級人民法院は、専利法第62条にいう現有技術の抗弁はイ号製品が公知の技術であることを要求しており、組み合わせに係る創造性とは無関係であることから、被告Aの現有技術の抗弁を退けた。 争点3:請求項数にかかわらず損害賠償額が決定される。 高級人民法院は、一部の請求項が無効になろうとも、侵害に係る請求項数と損害賠償額とが一致している必要はないと判示し、第1審と同額の損害賠償金の支払いを命じた。 損害賠償額の具体的算出手法は専利法第65条に規定されている。 専利法第65条 特許権侵害の賠償額は、権利者が侵害により受けた実際の損失に基づいて算定する。実際の損失の算定が困難な場合には、侵害者が侵害により得た利益に基づいて算定することができる。特許権者の損失又は侵害者の得た利益の算定が困難な場合には、当該特許の実施許諾料の倍数を参酌して合理的に算定する。特許権侵害の賠償額は、特許権者が侵害行為を差し止めるために支払った合理的な支出を含むべきである。 特許権者の損失、侵害者の得た利益及び特許の実施許諾料の算定がともに困難な場合には、裁判所は特許権の種類、侵害行為の性質や情状などの要素に基づいて、1万元以上100万元以下の賠償額を決定することができる。 簡単に言えば、第1に原告の損害額、第2に被告の利益額、第3にライセンス費の1~3倍の額、第4に人民法院が裁量で100万元以下の額を決定する。中国各地で発生する模造品事件についていえば、一般に原告の損害、被告の利益を立証することは困難なことが多い。また、中国現地で実施許諾を行っていないことも多く、ライセンス費に基づく損害額の立証も困難であり、結局は第4の人民法院の裁量により損害賠償額が決定されることが実務上多い。 本事件においても、原告は自身の損害額はおろか両被告の利益、ライセンス費をも立証することはできなかった。結局、人民法院は特許の類別、両被告の侵害の性質及び情状等の要素を考慮して損害賠償額12万元を確定した。この中には、原告が調査、侵害行為の制止のために支払った合理的支出(イ号製品購入費用は2500元、公証費は1800元)が含まれている。なお原告は合理的支出として弁護士費用12万元をも主張したが、ほとんど認められなかったようである。 また、高級人民法院は、無効宣告により請求項5は無効となったが、両被告のイ号製品は依然として請求項12に係る特許権を侵害していることから、損害額は必ずしも侵害に係る請求項数と一致している必要がないと判示した。以上の理由により、第1審と同じく12万元の損害賠償金の支払いを命じた。 5.結論 高級人民法院は、実用新型特許の侵害を認め、原告の請求どおり、被告Aに対し、イ号製品の即時製造・販売停止、被告Bに対しイ号製品の即時販売停止を認めた。また、被告Aに対し約12万元(約170万円)の損害賠償の支払いを命じた。 6.コメント 本事件は、実用新型特許を有効活用した案件として参考となる。日本では特許出願していたところ、中国では実用新型特許出願に切り替え、しかも、中国用にわざわざ請求項の内容を書き換えて登録を受けている。中国での侵害を予期して複数の独立請求項を設定し、さらに階層的に従属請求項を作成したのである。 実用新型特許は無審査で登録となる反面、後に無効となる可能性が高い。しかも、上述したとおり登録後は実質上請求項の削除しかできない。しかしながら、本事件の如く予め32もの請求項を階層的に作成しておけば、いくつかの請求項は生き残り、有効に活用できるであろう。 発明特許として出願した場合、審査に長期間を要し、また記載不備を指摘され、「権利範囲を実施例に限定すべし」等の厳しい拒絶理由を受けることが実務上多い。本事件の如く、中国競合他社から模造品が販売される可能性が高く、かつ、対象が構造物である場合、発明特許ではなく実用新型特許で権利化することは一考に値する。 その場合、請求項は、無効宣告請求及び請求項の削除補正を考慮して、数多く階層的に作成しておくことが必要となる。また、外観設計特許出願(日本の、意匠登録出願に相当)もあわせて行うことも重要である。実用新型特許権は存続期間が10年と短くなるデメリットもあるが、「迅速・簡便・強固」というメリットが大きく、戦略的に活用することが可能である。 判決 2009年3月18日 |
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【注釈】 *1 専利法第2条は以下のとおり規定する。 本法でいう発明創造とは、発明、実用新型及び外観設計をいう。 ・・ 実用新型とは、製品の形状、構造又はそれらの組合せについて出された実用に適した新しい技術をいう。 特許庁HP http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/s_sonota/fips/mokuji.htm 参照 *2 実用新案法第29条の2の規定は以下のとおり。 実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、自己の実用新案権又は専用実施権の侵害者等に対し、その権利を行使することができない。 *3 実用新案法第29条の3の規定は以下のとおり。 実用新案権者又は専用実施権者が侵害者等に対しその権利を行使し、又はその警告をした場合において、実用新案登録を無効にすべき旨の審決(第三十七条第一項第六号に掲げる理由によるものを除く。)が確定したときは、その者は、その権利の行使又はその警告により相手方に与えた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、実用新案技術評価書の実用新案技術評価(当該実用新案登録出願に係る考案又は登録実用新案が第三条第一項第三号及び第二項(同号に掲げる考案に係るものに限る。)、第三条の二並びに第七条第一項から第三項まで及び第七項の規定により実用新案登録をすることができない旨の評価を受けたものを除く。)に基づきその権利を行使し、又はその警告をしたとき、その他相当の注意をもつてその権利を行使し、又はその警告をしたときは、この限りでない。 *4 中国知識産権局HPより http://www.sipo.gov.cn/sipo2008/ *5新疆博尔塔拉蒙古自治州知識産権局HP「2008年全国知識産権局系統行政執法取得顕著成績」 *6 知的財産高等裁判所HP http://www.ip.courts.go.jp/aboutus/stat_03.html *7 北京市第一中級人民法院(2006)一中民初字第12795号民事判決 *8 北京市高級人民法院(2008)高民終字第941号 *9 専利法第46条第1項の規定は以下のとおり。 特許審判委員会は、特許権の無効審判請求に対して迅速に審査及び決定を行い、かつ請求人及び特許権者に通知しなければならない。特許権を無効とする決定は、国務院特許行政部門により登記公告される。 *10 専利法第59条第1項の規定は以下のとおり 発明又は実用新案特許権の権利範囲は、その請求項の内容を基準とし、明細書及び図面は請求項の内容の解釈に用いることができる。 ◆ここに示す判決要約は筆者の私見を示したものであり、情報的なものにすぎず、法律上の助言または意見を含んでいません。ここで述べられている見解は、必ずしもいずれかの法律事務所、特許事務所、代理人または依頼人の意見または意図を示すものではありません。 ◆『中国特許判例紹介』のバックナンバーは河野特許事務所ホームページよりご覧頂けます。 http://www.knpt.com/contents/china/china_index.html ◆『米国特許判例紹介』のバックナンバーは河野特許事務所ホームページよりご覧頂けます。 http://www.knpt.com/contents/cafc/cafc_index.html ◆ 特許関連News『意匠のススメ ~特許・商標を補完しよう~』は河野特許事務所ホームページよりご覧頂けます。 http://www.knpt.com/contents/news/news00118/news118.html |
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