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米国特許法規則改正について

継続出願・RCEの回数が制限される。クレーム数にも上限が

〜2007年11月1日施行〜

執筆者 弁理士 河野英仁
2007年8月22日

 2007年8月21日、米国特許商標庁(USPTO)は、2007年11月1日から施行される改正特許法規則を公開した。昨年1月にこの規則のベースとなる改正案が公開されており、その後USPTO内にてパブリックコメントが検討され、本規則が公開された。

主な改正点は以下のとおりである。
1.継続出願及び継続審査請求(RCE)の回数制限
2.一出願のクレーム数上限

以下、改正のポイントを説明する。

1.継続出願及び継続審査請求(RCE)の回数制限
(1)継続出願及びRCEについて
 USPTOは継続出願、一部継続出願(CIP)、及びRCEに関し改訂を行った。新たな規則によると、出願人は「出願ファミリー」内において、継続出願(またはCIP)は2回、これに加えてRCEは1回のみ行うことができる。
 これは出願人の権利として当然行うことができるが、以前のように延々と継続出願及びRCEを繰り返すことはできなくなった。

 新たな概念として「出願ファミリー」が導入されたが、出願ファミリーとは、原出願、及び、その継続出願またはCIPをいう。

 例外として、出願人は出願ファミリー内において、3度目の継続出願・CIP、または2度目のRCEを行うことができるが、これには嘆願書(petition)の提出が必要である。嘆願書には、導入される補正、議論または証拠が、なぜ前回に提出されなかったかの理由を示す必要がある。

 どの程度の嘆願書の記載で、3度目の継続出願または2度目のRCEが認められるか、今後のプラクティスを経ないと不明であるが、このような回数制限が設けられた以上、継続出願及びRCEには慎重な判断が必要とされる。

(2)限定要求(requirement for restriction)に従う分割出願(divisional application)について
 USPTOはさらに分割出願について規則改正を行った。新たな規則によると、出願人は、限定要求(requirement for restriction)に従い選択されなかった未審査の発明に関し、出願の分割出願を行うことができる。そして、出願人は、また、「当該(限定要求)分割出願ファミリー」内において、当該分割出願に関し、継続出願が2回、これに加えてRCEを1回だけ行うことができる。

 ここで、「分割出願ファミリー」とは、当該分割出願及びこれの継続出願をいう。つまり、審査官の限定要求に従う分割出願は、出願人の意図するところではないから、新たな出願と同様に取り扱い、2回までの継続出願、1回限りのRCEを、さらに認めることとしたのである。

 なお、当該分割出願ファミリー内において、3度目の継続出願、または2度目のRCEを行う場合は、同様に嘆願書の提出が必要である。

2.一出願のクレーム数上限
 USPTOは一出願内のクレームの審査に関する規則を改定した。これによると、一出願内の独立請求項数が5を超えるか、または総クレーム数が25を超える場合、USPTOは、審査補助資料(ESD)を提出させることにより集中審査を行うことを出願人に要求する。

 原則として独立請求項数は5まで、全クレーム数は25までとすべし、とする規則である。従来のように複数の日本出願を一つにまとめて米国特許出願を行い、後に分割出願を行う戦略は困難となる。また、日本の特許出願時においても、米国出願が予定されている場合は、独立請求項数、総クレーム数の上限を考慮した明細書作成が必要となる。

 なお、規則詳細はUSPTOのHP http://www.uspto.gov/web/offices/com/sol/notices/72fr46716.pdf
からダウンロードできる(PDFファイル)。

以 上

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