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営業秘密(ノウハウ)

〜秘密管理と共同研究における注意点〜

2007.6.1 安田 恵

 技術情報は「特許」または「ノウハウ」として保護することができます。「特許」は、出願・登録することで成立し、公開の代償としてその技術情報を専有することができます。「ノウハウ」は、その成立に特段の手続きを要せず、秘匿されている限り不正競争防止法上の「営業秘密」として保護されます。「営業秘密」は秘密管理する必要がありますが、共同研究を行う場合、相手方に営業秘密を開示しなければなりません。そこで、共同研究における営業秘密の取り扱いについて説明します。

☆ 営業秘密
 技術情報が下記@〜Bの条件を満たせば、その技術情報は不正競争防止法で保護されます。図利加害目的を有する従業員、他企業などの不法行為者に対しては、技術情報の使用停止を求め、損害賠償を請求することもできます。
@ 秘密として管理されていること(秘密管理性※1
A 事業活動に有用な技術上の情報であること(有用性)
B 公然と知られていないこと(非公知性※2)
 このため、技術情報が外部に漏洩しないよう秘密管理を徹底する必要があります。不十分な管理状態で技術情報が外部に漏れると、不正競争防止法による保護を受けることができないおそれがあります。
※1 客観的に秘密として管理されていると認識できる状態にあることが必要です。具体的には、@その情報にアクセスできる者が制限されていること、A情報にアクセスした者にその情報が営業秘密であることが認識できるようにされていることが必要です。
※2 保有者の管理下以外では一般に入手できない状態にあることをいいます。

☆共同研究における営業秘密の開示とその問題点
 共同研究を行う場合、自己の技術情報を相手方に開示する必要があり、この情報開示によって不測の不利益を被るおそれがあります。例えば、相手方企業の雇用規定に退職者の守秘義務が規定されておらず、退職者から技術情報が漏洩したケース、相手大学の教官が学会発表して漏洩したケース、提供した技術情報を相手方が他部門で使用したケースなどがあります。

☆書面による契約
 このような不測の損害を回避するためには、書面で詳細に契約することが肝心です。最低限、@提供する技術情報の具体的内容、A相手方の従業者・退職者の守秘義務、B技術情報の使用範囲、C共同研究終了後の守秘義務といった内容を書面で取り決めておくこことが望まれます。

◆ 営業秘密の法的取り扱いについては、河野特許事務所まで、お気軽にご相談ください。

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