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国外での製造・販売を止めさせたい

〜国外における実施と輸出入〜

2007.7.1 八木 まゆ

 近年では、製品の販売先は国内に留まらず、諸外国での販売も考慮されることと思います。そのようなビジネス状況の中、日本で特許権、商標権等の知的財産権を取得した製品について侵害品が国外で製造・販売されている場合、それらの行為を止めさせることはできるでしょうか。

☆知的財産権の効力
 原則として、知的財産権関連の法律に基づく権利行使の対象はあくまで「国内における行為」です。日本国で特許権、商標権等を有している場合でも、国外での製造・販売等の行為については、実施、使用の停止の請求、損害賠償請求等の権利行使は不可能です。

☆輸出入に関する規定
  ただし、取り締まり対象である「国内における行為」には日本への「輸入」行為が含まれます。侵害品が国外で製造されて日本へ輸入される場合、その製造行為には権利行使が不可能でも、輸入された時点で「輸入」行為に対し権利行使が可能であり、国外で製造された侵害品の国内への流通を防ぐことができます。
 一方で「輸出」行為については、「輸出」の前提として国内で製造されるはずであり、製造行為に対して権利行使ができれば侵害の予防が可能との考えから、権利行使は不可能でした。このため、輸出業者を特定できても、製造業者を特定できない場合は輸出を止めさせることができなかったのです。このような事態を防ぐために法改正によって今年から「輸出」行為に対しても権利行使が可能となりました。更に、輸出する前の侵害品の倉庫での「保管状態」を差し押さえることも可能となりました。これにより、日本から輸出された侵害品の国外における販売を防ぐことができます。

☆部品の輸出入
 権利を取得した製品が重要な「部品」を含んで構成される場合、輸出入される「物」がその「部品」であるときはどうでしょうか。このような「部品」の国内における製造・販売に対しては、権利を取得した製品そのものを製造・販売していなくても侵害とみなされ、権利行使が可能な場合があります。
 また、重要な「部品」の国外から日本への「輸入」行為に対しては、権利行使が可能な場合があります。しかしながら、日本から国外への「部品」の「輸出」行為に対しては、国外で侵害品の製造・組立てが行なわれる可能性が高くても、「部品」の「輸出」又は「保管状態」を差し押さえることができない点は留意すべきです。このような場合、「部品」自体の権利取得が可能であれば是非しておくべきでしょう。

☆国外での製造・販売が確実な場合は国外での権利を
 上述のような日本国内の行為である「輸出入行為」以外についてはやはり権利行使が不可能ですので、アジア諸国、米国や欧州で製造、販売することが想定される技術や商品について保護が必要である場合は、当該諸国における権利の取得をお勧めいたします。

◆国内・国外での権利取得、侵害の成否についても河野特許事務所までお気軽にご相談ください。


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