ソフトウェアの特許の事なら河野特許事務所

閉じる
一覧  |   トップ  


知財信託

〜特許権等の有効活用〜

2007.12.3 廣田 由利

 知財信託(知的財産権の信託)とは、企業、大学(研究者)、個人等が所有する知的財産権を、信頼できる受託者に移転させ、受託者が委託者のために、一定の目的に従って、知的財産権の管理・運用(知的財産権のライセンス契約の締結・売却等)を行うことをいいます。2004年12月の信託業法の改正により、知的財産権を信託財産として扱うことが可能になりました。

☆特許権信託の国内初の事例
 2005年3月に、トキワ精機鰍ェ三菱UFJ信託銀行に特許権を預け、三菱UFJ信託銀行は大手産業用部品メーカーとライセンス契約を締結した事例があります。

☆知財信託のメリット
 知的財産権が受益権(信託財産の管理・運用の結果を享受する権利)に変わり、分割して投資家へ販売すること等が可能になり、流動性が向上し、資金調達が安定化します。何より知財の管理・運用の効率化が図られ、委託者は事業に専念でき、企業の競争力の強化につながります。また、信託財産は委託者及び受託者の双方の財産と区分されますので、双方の破産のリスクから信託財産が守られるという倒産隔離機能があります。

☆受託者の例
 受託者としては、上述した信託銀行の他に、グループ企業においては、知財管理会社が挙げられ、大学においては、TLOが挙げられます。知財管理会社等による一元管理の場合、権利移転の際に、登録免許税等の費用が発生せず、かつ知財管理会社等は知財の処分権等も有しますので、従来の一元管理の手法であった「譲渡方式」と「委任方式」の長所を兼ね備えています。

☆知財信託の問題点
 受託者は、委託者の利益と相反する立場に身を置かないという忠実義務を有しますので、同業の複数社から知財信託を受けることができないという問題点があります。また、知財は無体財産ですので、資産価値の推定が困難で、資産価値が変動しやすく、リターンが不明確であり、知財信託がまだ十分に活用されていないという問題点があります。

◆ 知財信託に関するご相談は、お気軽に河野特許事務所までお問い合わせください。

閉じる

Copyright 2007 KOHNO PATENT OFFICE