ソフトウェアの特許の事なら河野特許事務所

閉じる
一覧  |   トップ  


オープンソースと特許侵害

〜Linux陣営が提訴される〜


2008.2.1 八木 まゆ

☆ オープンソースの利用は特許侵害からフリー?
 Linux OS、GNUプロジェクト等に関わるソフトウェアは、技術進歩を促進させるためにオープンソースとして一定の条件下で自由な改変が認められています。一方で著作権保護の側面で、各規定がGPLに定められています。2007年11月にはGPLv3の最終ドラフトが発表されました。
 特許に関しては、GPLを採用したソフトウェアの利用に対し、GPLに参画している者からは特許権が行使されないことが約束されています。しかし、GPLに不参画の第三者が保有している特許権に係る技術がオープンソースに含まれている場合、そのオープンソースを利用しているときは第三者から特許侵害で訴えられる可能性があります。この場合は使用許諾を得なくてはいけません。

☆ RedHat、Novellの事件
 2007年10月9日、Linuxディストリビュータが初めて特許侵害で提訴されました(米国)。提訴されたのはLinuxディストリビュータ大手のRedHatとNovellです。
 この事件に係る特許権(米国5,072,412等)は、Xeroxが出願したもので、日本でも特許されています(特公平7−86820)。具体的には、仮想デスクトップに関する技術であり、例えば編集アプリのウィンドウを複数の作業領域で共有し、いずれの作業領域でのウィンドウでも編集作業の結果が反映されて表示されると共に、各作業領域で夫々のウィンドウを異なる位置、サイズで配置させることを可能にし、ユーザが各作業領域で夫々のウィンドウを同じ編集アプリのウィンドウとして認知できるようにしてあることが本発明の特徴です。
 訴状によると、現在は特許権のライセンス供与を行なう米国の会社が権利を保有しており、彼らはRedHatのRedHat Linux System、NovellのSuse Linux Enterprise Desktop、Suse Linux Enterprise Serverが特許権を侵害していると主張しています。

☆ オープンソースによる特許侵害の問題
 今回の事件でRedHatとNovellによる侵害が確定した場合、上述の製品を購入してサービスの提供に利用している業者はどうなるでしょう。一般に、特許権に係るものを相当金額を支払って正当に使用している場合は権利は消尽され、訴えの対象とはなりません。しかし、侵害品を使用している場合はそれが購入したものであっても、その使用により侵害が成立し得ます。
 GPLを採用したソフトウェアは、GPLに従う限り自由に使用及び改変が可能です。大本のソフトウェアで実現される技術に侵害を成立させる構成要素が含まれている場合、それを発展させたソフトウェアによって実現される技術も侵害品となり得ます。この場合、侵害者の範囲は非常に広範囲にわたる可能性が高くなる点で、オープンソースに関する特許侵害は困難な問題と言えます。

◆ソフトウェア関連特許の権利取得、侵害成否については河野特許事務所までお気軽にご相談ください。
※Linux、RedHat、Novell、Xeroxは登録商標です。

閉じる

Copyright 2008 KOHNO PATENT OFFICE