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プログラムと著作権

〜Mac互換機の違法性〜

2008.10.1 岡田 充浩

1.はじめに
 米国では、Psystar社がApple社の許諾なしにMac OS X(以下OS)をプリインストールしたMac互換機を製造販売して話題となっていますが、このようなMac互換機は、現在、日本において製造販売されていません。以下その理由を解説致します。

2.OSをプリインストールする行為
 プログラムの著作物(著作権法10条1項9号)であるOSの複製は、著作権者であるApple社及び利用許諾者が行う(法21条)ほか、リカバリディスクを適法に購入した者が自ら使用する場合に行うことができます(法47条の2第1項)。しかし、Mac互換機の販売者がApple社の許諾なしにリカバリディスク内のOSをMac互換機のHDDにプリインストールする行為は、自らが使用するための複製とはいえず、海賊版のディスクを作成することと同じであってApple社の著作権を侵害することとなります(法21条)。   

3.Mac互換機とOSとを分けて販売する行為
 例えば、OSがインストールされていないMac互換機と正規版のリカバリディスクとを販売する行為は、著作権を侵害することとなりません。しかし、契約自由の原則により、プログラムには、著作権法の強行規定に反しない範囲で使用許諾契約(以下EULA)を付することができます。Apple社は、自社が販売するMacintosh以外のコンピュータにOSをインストールし、使用し、他の者にこれらの行為を行わせることを禁止しています。従って、正規版のリカバリディスクであってもMac互換機にインストールさせる目的で販売する行為は、Apple社のEULAに違反するので、販売者は、債務不履行による民法上の責任を負わされることとなります。   

4.Mac互換機を購入したエンドユーザ
 購入した正規版のリカバリディスク内のOSをMac互換機にインストールする行為は、著作権を侵害することとなりませんがApple社のEULAに違反します。これに対して、不正にプリインストールされたMac互換機を使用する行為、又は海賊版のリカバリディスク内のOSをMac互換機にインストールする行為は、業務以外の目的であれば著作権を侵害することとなりませんが(法113条の2反対解釈)、EULAに違反するか否かは意見が分かれています。

 以上の理由により、日本においてMac互換機を製造販売することはできません。なお、詳細な内容は不明ですが、米国においてApple社がPsystar社に対して著作権侵害及びその他の法的要因に基づく訴訟を米国内で起こしたようです。

■知的財産権に関するご質問がございましたら、河野特許事務所までお気軽に御相談下さい。

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