ソフトウェアの特許の事なら河野特許事務所

閉じる
一覧  |   トップ  


秘密保持契約

〜情報開示を受ける際の留意点〜


2009.3.1 安田 恵

 共同研究の可能性を探るための打ち合わせで技術者が他社を訪問した際、相手方から不意に秘密保持契約書にサインを求められることがありますが、友好関係にある相手方であっても不用意にサインをすべきではありません。以下に留意点を説明します。

☆開示情報の範囲  
 秘密情報を開示する相手方は、秘密保持契約の対象となる秘密情報ができるだけ広くなるように開示情報の範囲を規定しています。秘密情報の開示を受ける技術者は、秘密保持契約の対象が必要最小限の範囲に限定されているかどうかを確認すべきです。例えば、A工場で物質aの製造方法に関する秘密情報の開示を受ける場合、開示情報の範囲を「A工場」にすべきではなく、「A工場における物質aの製造方法」に限定すべきです。

☆秘密保持の期間  
 通常、秘密保持契約書には、本契約の有効期間と共に存続条項が定められています。存続条項には、本契約終了後も、秘密保持義務に関する条項を引き続き有効とし、被開示者を拘束する旨が規定されています。ところが、この存続期間の終期が定められていないことがあるため、注意が必要です。技術は陳腐化するため、存続期間に終期が無くても心配は無いと言われることもありますが、存続期間の終期は明確に定めるべきです。秘密保持義務などの制約が永遠に継続し、被開示者を拘束することになるためです。具体的な期間はケースバイケースですが、本契約終了後3年間とするケースが多いようです。

☆秘密保持義務の免除  
 相手方から開示された情報の中には、すでに自社で保有している情報すでに公知になっている情報第三者から受け取った情報等が含まれている場合があります。このような情報が秘密保持契約の対象から除外されているかどうかも確認すべきです。

☆余計な秘密情報は貰わない  
 秘密保持契約を結んだのだからといって、相手方から闇雲に秘密情報の開示を受け、技術資料を持ち帰ることは避けるべきです。開示された秘密情報の範囲が広い程、秘密保持契約で制約を受ける範囲が拡大します。自社にとって不要な秘密情報の開示を受けたがために、自社の事業活動が制約されることもあります。

◆ 秘密保持契約の法的取り扱いについては、河野特許事務所まで、お気軽にご相談ください。

閉じる

Copyright 2009 KOHNO PATENT OFFICE