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特許はお金にならない?

〜中小・ベンチャー企業を後押しする施策〜


2009.4.1 八木 まゆ

  2009年は、現行の特許法の基礎となっている特許法(昭和34年法)が制定されてから50年目にあたります。この節目を契機に、昨今の急速な産業構造の変革に応じて、従来は除外されていた医療行為をも特許の対象とすること、ソフトウェアを特許対象とすることの明記など、特許制度の大きな見直しが3年後の改正を目処にして検討される模様です。

☆中小・ベンチャー企業向け制度
 特許制度では、権利を取得するための手続の規定、また権利行使についての規定のみならず、中小・ベンチャー企業が大企業に対抗できるようなしくみで後押しし、産業界における良好なバランスが保たれることを促す支援制度の側面を持っています。
 中小企業支援制度に関しては、「特定の法人に対する審査請求料、特許料の減免・半額免除の制度」、「審査請求料金の返還制度」、「早期審査請求時の必要条件の緩和」、2009年4月1日から実施される「審査請求料の納付繰り延べ」のほか、同日から施行される「仮通常実施権の登録制度」(弊所特許関連News「仮通常実施権制度の創設」2008年7月)が既にあります。
 これに加えて更に、中小・ベンチャー企業が発明を第三者に開放する場合には特許権者が納付すべき特許料を半額にするという案が上述の見直しにて検討されるようです。

☆第三者に実施してもらうことを前提とした発明の権利化
 このように、中小・ベンチャー企業向けに権利化を促すための制度は、権利化費用の抑制、早期権利化を中心に以前から継続して検討されています。中小・ベンチャー企業の開発者や大学研究者が優れたアイディアを持っているにも拘らず、資金や設備の問題から自身で製造する予定も無いために特許出願がされない、又は実施されない発明が多数存在するという実情が踏まえられてのことと考えられます。
 もちろん、後々無事に権利化ができたとしても、事業化されて実施料を得ることができるかどうかが分からないものに、決して少なくはない金額及び労力を投資することが難しいのも実情です。しかしながら一方で、本来は単独で出願できたにも拘わらず、事業化が具体的となった段階では、実施してくれる協業相手との共同出願とならざるを得ず、十分な実施料収入を得られない状況となった場合、特許権を財産として有効に活用できません
 上述のような中小・ベンチャー企業への支援制度を有効に利用し、実施ができなくとも第三者に実施してもらうことによる実施料収入、他社への発明の提供、又は他社への譲渡など、特許発明のまさに無形財産としての価値を生かした戦略を選択肢に入れて、できる限り単独で特許出願を目指していただきたいと考えます。

◆弊所では企業、大学などでの発明発掘、戦略的特許取得についてのご相談もお受けしております。ご気軽にご相談下さいませ。

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