特許出願後に審査を受けるためには審査請求をする必要がありますが、その費用は20万円前後であり、高額です。審査請求前に先行技術の有無を精査すべきですが負担が大きく、中小企業・個人の出願人の負担を軽減するため、特許庁が費用を負担して特定の調査事業者に調査を依頼する制度があります。
☆対象者
中小企業(特許庁HP「無料で先行技術が調査できる?」記載の条件を満たす企業であって、大企業の支配関係にない企業:製造業、ソフトウエアサービス業の場合は従業員数300人以下若しくは資本3億円以下の企業)、又は個人
☆対象の特許出願
2007年4月以降の出願で、審査請求を行っていない特許出願(審査請求期間満了前2ヶ月未満の出願,国際特許出願は除く)です。
☆調査の流れ
@調査依頼書,出願書類の写しを特許庁HP記載の特定調査事業者に提出して、申し込む。
A約3週間後、調査報告書,先行技術文献の公報が調査事業者から郵送される。
☆調査報告書の内容
調査報告書には、先行技術文献,参照箇所,関連する請求項とともに、同一,類似,参考といった調査事業者の判断(調査結果)が記載されています。「類似」と判断された文献があった場合、関連する請求項については進歩性による拒絶理由が通知される可能性が高く、「同一」と判断された文献があった場合、その文献には関連する請求項の内容が全て記載されているため、新規性による拒絶理由が通知される可能性があることになります。但し、この調査は、依頼人自身が審査請求するか否かの判断の参考のために行われるものであり、特許庁における審査がその通りになるとは限りません。
☆調査結果の利用方法
新規性・進歩性が否定されるような先行技術文献が見つかった場合、この文献の発明との構成、効果の違いを明確にできるような補正をすれば(当初明細書の範囲内で)、権利化される可能性が高まります。また、早期審査を申請する場合に、調査報告書の文献を記載することで、簡単に事情説明書を作成することができます。そして、調査報告書の内容によって外国出願を行うか否かを判断し、権利化の可能性が高い場合に出願することで、高額の外国出願の費用を抑えることができます。
■調査については、お気軽に河野特許事務所までお問い合わせください。
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