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その複製は著作権の侵害?

〜著作権法改正によるデジタルコンテンツの流通促進〜

2010.9.1 大竹 康友


  我が国ではインターネットを利用した事業の拡大が諸外国に比較して遅れており、その一方で違法配信からの複製が蔓延していることから、著作権を巡る環境を早急に整備する必要性が叫ばれていました。これらを受けて著作権法の一部が改正され、2010年1月1日から施行されたことによって、電子化された著作物等(いわゆるデジタルコンテンツ)の流通促進が図られています。以下、概要を紹介します。

(1) 改正に伴う主な措置
(a)インターネット等を活用した著作物の利用を円滑化するための措置の拡大及び新設により、特定の行為については権利者の許諾なく行えるようになりました。
(b)侵害とみなす行為の見直しによる罰則の強化、及び私的使用のために複製できる範囲の縮小により、権利者が著作物を提供して利益を確保できる環境が整備されました。

(2) 改正内容の具体例
(a)改正前は、権利侵害となる虞があった行為の見直し
@情報の収集等を自動的に行って情報検索サービスを業として提供する者は、必要と認められる限度でサーバ等の記録媒体に著作物の複製等を行い、複製等された著作物を検索結果と共に送信することが可能になりました。
A過去にテレビ番組等として公表された著作物は、実演家(俳優)の所在不明等の理由で許諾が得られない場合であっても、裁定を受けることで利用可能となりました。
Bインターネット販売等において美術品や写真等の商品等を出品する際に、商品紹介用の画像を掲載することが可能になりました。
C膨大な情報の中から必要とする情報・知識を抽出するような情報解析を行う目的で、記録媒体に著作物を複製することが可能になりました。
D通信事業者等が、通信の効率化及び障害回避を目的として、キャッシュサーバ、バックアップサーバ等の記録媒体に著作物を複製することが可能になりました。
(b)改正前は、権利侵害とならなかった行為の見直し
@インターネット販売に限らず、海賊版と承知の上で販売の申出(広告等)を行う行為が権利侵害となりました。(改正前でも海賊版と承知で販売し、販売のために所持し、輸入及び輸出等する行為は権利侵害となっていました)
A違法なインターネット配信によるデジタル方式の音楽・映像を、違法な配信と知りながら録音・録画することが権利侵害となりました。(改正前の、個人的な又は家庭内等における複製が許可される範囲から、除外される場合が1つ追加されました。)

(3) 今回の改正における注意点
前項(a)に示した行為であっても、権利者がそのような行為を拒否する旨の意思表示を行っている場合(@)、供託金の供託による裁定前の利用が可能であるものの、権利者を捜索する相当の努力を要する場合(A)、複製防止措置等の一定の措置(画像を一定以下の大きさ・精度にすること等)を条件とする場合(B)、及び特定のデータベースが権利制限の対象外とされる場合(C)等があり、扱いには注意が必要です。

■ 改正された著作権法の取扱いについては、河野特許事務所までお気軽にご相談下さい。

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