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新規性喪失の例外規定(特許法第30条)の適用が拡大された平成23年改正法が施行されました。
◆改正前、改正後の適用対象、適用時期
改正前の本規定は主に、「学会発表」による発明の公開に対して、公開された日から6月以内に出願し、出願日から30日以内に適用手続を行なえば、自ら発表したという事実をもとに、発明が「新規でない(同29条第1項各号)」と判断されることを回避できるというものでした。
これに対し、改正後は、「ウェブサイトへの掲載」、「セミナーや説明会での公開」、「テレビ・ラジオでの公開」、「試験販売」なども適用対象となります。したがって、発明に関する商品について、出願前に「試供品配布」又は「プレゼンテーション」を行なったとしても、特許を受けることができる可能性があります。
また本規定は、施行日である2012年4月1日以降の出願に適用されるので、6月前である2011年10月1日以降の出願人自らの行為が適用対象となります。
◆注意点
これからは、ほぼどのような行為でも、自ら公開したのであれば後から特許出願しても特許権を取得できると安易に考えてはいけません。以下のケースでは、せっかくの発明について特許権を受ける機会を失う場合があります。
(A)第三者による公開・出願
会社Xが、発明Aについて自社ウェブサイトへ掲載(公開)後に、特許出願したとします。
このケースで、会社Xによるウェブサイトへの掲載自体には、本規定が適用されます。掲載日よりも後に、Yさんが会社Xのウェブサイトを紹介する形で公開したときも、会社X自らの行為に起因して公開されたと扱われ、本規定が適用されます。 ただし、会社Xのウェブサイト掲載日から特許出願するまでの間に、Zさんが偶然、同じ発明をして公開した場合、Zさんによる公開は本規定の適用外となります。会社Xは、ウェブサイト掲載よりもまず出願していたら権利化できたにもかかわらず、特許を受けることができません。
(B)周辺発明、改良発明
会社Xが、発明Bに係る試供品を配布し、その後反響を見てから発明Bについて特許出願したとします。試供品配布には本規定が適用されますから、他の要件を満たせば特許を受けられます。
しかし、試供品を入手したWさんが、試供品をヒントに別の発明C(B+α)をし、会社Xの発明Bについての特許出願よりも前に、発明Cを公開したり出願した場合、会社Xは、開発段階で改良発明Cについて思いついていたとしても、自ら特許を受けることができません。
(C)外国での出願
アメリカでは、「公開の態様を問わない」「公開から12月以内」とされていますが、欧州や中国では、万博相当の国際博覧会での公開、又は意に反する公開でなければ適用対象となりませんので、先に公開してしまうと、欧州又は中国では特許を受けることができません。
◆改正法に関してご不明な点がございましたら、河野特許事務所までお気軽にご相談ください。
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