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2012.8.1 野口富弘
自国で特許可能と判断された特許出願について外国において簡易な手続で早期審査が受けられる特許審査ハイウェイ(PPH)は、現在では日本を含め24の国と機関との間で実施されています。一方で、一つの出願ですべてのPCT加盟国に出願できるPCT出願が年々増加しており、同じ発明を複数国で権利化する傾向が益々強くなっています。
PCT出願に基づく特許審査ハイウェイ(PCT−PPH)も、2010年1月から試行的に開始され、本年7月1日からは韓国が加わり、現在では五大特許庁である米国、欧州、中国及び韓国に加えて、フィリピン、カナダ、メキシコ、ドイツ、フィンランド、ロシア、オーストリア、ハンガリー、スペイン、スウェーデン、ポルトガル、さらに、デンマーク、ノルウェー、アイスランド及びこれら3国によって設立された北欧特許庁との間で通常のPPHとともに実施されています。
そこで、PCT出願に基づく特許審査ハイウェイについてご説明します。
1.PCTーPPHの主な要件
@ PCT出願に対する国際調査機関の見解書、国際予備審査機関の見解書又は予備審査報告書のうち最新の書類(国際段階成果物)において、特許性「あり」と示された請求項が存在すること。
A PCTーPPHの申請を行う出願の請求項が、上記書類において特許性「あり」とされた請求項と十分に対応していること。
B PCTーPPHの申請を行う出願が、審査着手前であること。
2.PCTーPPHの申請手続
@ PCT出願およびPCTーPPHの申請を行う出願の請求項対応表
A PCT出願の特許性「あり」と示された請求項の写しとその翻訳文
B PCT出願の国際段階成果物の写しとその翻訳文
C PCT出願の国際段階成果物で提示された文献の写し
ただし、多くの場合、請求項対応表以外の提出書類は省略することが可能ですが、申請手続は国ごとに異なることがあります。
3.PCTーPPHのメリット
@ PCT出願後、比較的早期に得られる国際調査見解書で特許性があると認められた場合は、PCTーPPHの申請が可能となり、早期に権利化を図ることができます。
A また、通常のPPHと同様に、権利取得の予見性が高まり、オフィスアクションを受ける回数が減り、権利取得の費用を節約することができます。
なお、シンガポール、台湾、英国、イスラエルとの間では、通常のPPHが実施されています。
◆海外での権利取得については、お気軽に河野特許事務所までお問い合わせください。
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