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2013.3.1 大竹 康友
近年、デジタル化及びネットワーク化の進展に伴って著作物の利用態様の多様化が進む一方で、著作物の違法利用及び違法流通が常態化しています。これに対し、著作物の公正な利用を図ると共に著作権等の適切な保護に資するため、著作権等の制限規定及び保護技術に関する規定が改正され、一部の侵害行為に対する罰則が追加されました。以下、著作権法に関する改正の主な内容を紹介します。
1.いわゆる「写り込み」等に関する権利制限の規定の整備
以下の著作物の一定の利用行為が著作権等を侵害しないことが明確になりました。
1)写真撮影等による創作において、対象事物等から分離することが困難な付随対象著作物(例:①主要な被写体の背景に小さく写り込んだ有名な絵画②録画時にたまたま録音された音楽)を創作に伴って複製又は翻案し、創作された著作物と共に利用する行為
2)著作権者の承諾等を得るための検討の過程において、必要と認められる限度で著作物を利用(例:交渉用の企画資料等に当該著作権者が創作したキャラクタを掲載)する行為
3)録音・録画等の技術の開発又は実用化試験のために、公表された著作物を必要と認められる限度で利用(例:①技術検証目的で実際にテレビ番組を録画②OCRソフトの性能検証時に小説、新聞、写真等の著作物をスキャナでスキャン)する行為
4)情報通信技術を利用した送信等による情報提供の準備に必要な情報処理(例:①動画共有サイトにおける各種動画の統一的なファイル形式への変換②SNSに投稿されたコンテンツの整理)のために、必要と認められる限度で著作物を記録媒体に記録し、又は翻案する行為
2.著作権等の技術的保護手段に関する規定の整備
従来、複製等の行為を技術的に制限する技術的保護手段のうち、所謂コピーコントロール技術を回避して複製等を行うことが違法とされていました。 今回の改正では、所謂アクセスコントロールとしての暗号化技術(例:記録媒体用のCSSやAACS、機器間伝送路用のDTCPやHDCP、放送用のB-CAS方式等)が技術的保護手段の対象に加わり、技術的保護手段を回避して複製することは私的使用目的であっても違法となりました。更に専用装置等に限らず、技術的保護手段の回避を可能とする装置等の譲渡等を行った者に刑事罰が科せられることになりました。
3.違法ダウンロードの刑事罰化に関する規定の整備
従来、違法にアップロードされた音楽や映像を、私的使用の目的で違法と知りながらダウンロードする行為には罰則が設けられていませんでした。 今回の改正では、有償著作物等(例:①CD、DVD及びインターネット配信で販売されている音楽や映像②DVDで販売又はオンデマンドで有償配信されているテレビ番組)が違法にアップロードされた場合、これを違法と知りながらダウンロードする行為に刑事罰(親告罪)が科せられることになりました。
上記の有償著作物等には、静止画像や以下のような動画は含まれません。
① 受信料は別にしてNHKや民放等から無料で放送されるテレビ番組を記録した動画
②販売された漫画本等を撮影した動画
上記のダウンロードとは、不特定多数のユーザの求めに応じて送信される音楽データ又は映像データを受信して録音又は録画することを指しますので、違法にアップロードされたストリーミング映像等を見たり聞いたりすることや、違法にコピーされて電子メールに添付された映像等のファイルを開いたりすることは処罰の対象ではありません。
◆ 改正著作権法について質問がございましたら、お気軽に河野特許事務所までご連絡ください。
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