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2013.7.1 近藤志津雄
特許法をはじめとする知的財産権法には、罰則が定められています。以下、知的財産権法の罰則規定とその適用例を紹介します。
1.罰則規定
特許権、商標権等を侵害した者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処され又は懲役刑と罰金刑とが併科されます。法人従業員等が特許権、商標権等の侵害行為を行った場合、法人にも3億円以下の罰金刑が科されます。知的財産権法に関する犯罪は非親告罪です。ただし、公訴により著作物及び不正競争防止法に係る営業秘密は公表されるため、著作権法及び不正競争防止法の営業秘密に関する犯罪は親告罪です。
2.侵害罰の成立には故意が必要
侵害罪が成立するためには、故意が必要です。例えば、特許発明は特許公報により公開されるため、特許発明を実施した第三者には民事上の過失が推定されます。しかし、刑事上の故意にはなりません。
特許法の侵害罪に係る罰則は一度も適用されたことがありません(2013年6月現在)。その理由の一つは、特許権の存在を知っていた場合であっても、自己の行為が特許権を侵害しないと確信し、その確信に合理的根拠がある場合には、故意は阻却されるからです。例えば、専門家の意見に従ったという合理的根拠の事例があります。
3.商標権侵害
代表的な商標権侵害は、偽ブランド品の輸入、販売等であり、頻繁に有罪判決が下されています。例えば、2007年7月にドルチェ・アンド・ガッバーナ社の偽ベルト販売で逮捕された者に懲役1年6カ月、執行猶予3年、罰金200万円の刑が科されました。
4.著作権侵害
近年の著作権侵害事件の特徴の一つは、インターネットに絡んだ事件が多く発生していることです。私的使用のためであっても、有償で公衆に提供・提示されていると知りながら音楽や映像をダウンロードする行為は侵害罪になります。また、国内に限らず、海外のサーバから有償著作物を無断でダウンロードする行為も侵害罪になります。
著作権侵害行為幇助の疑いでファイル共有ソフトの開発者が逮捕される事件がありました。ファイル共有ソフトの使用自体に違法性はありませんが、流通している著作物は違法なものが多く、これまでに200人近くの人が逮捕・書類送検されています。ただし、逮捕等をされた者は、最初に違法著作物をアップロードした人だけです。2回目以降の送受信に係わった人については、故意の立証が困難なためと考えられます。
5.不正競争防止法
知的財産権法のうち、比較的多くの刑事罪が適用されている法律は不正競争防止法です。記憶に新しい罰則の適用事例に、食品偽装があります。某牛肉卸し業者の社長は4年の実刑判決を受けました。また、某高級料亭の社長には罰金100万円が科されました。
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