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2014.2.1 大竹 康友
近年、事業戦略の一環として特許権、意匠権、商標権等の知的財産権を予め取得しておくことが益々重要になっていますが、従来、複数の出願に係る審査が別々に行われていたため、製品が市場に出るまでの短い事業化工程の中で漏れなく権利化を図るのは容易ではありませんでした。これに対し、平成25年4月から「事業戦略対応まとめ審査」の制度が導入されており、既にいくつかの企業による活用の事例が報告されています。この制度によれば、事業に関連した広範な出願群について、事業全体が的確に把握された上で、事業展開に合わせたタイミングでの権利化が支援されます。以下、まとめ審査の制度について説明します。
1.申請対象の出願群
以下の(1)から(4)までの条件を全て満たす必要があります。
(1)審査着手前(拒絶理由等の通知、協議指令、及び査定の謄本の到達前)の出願であること
(2)出願群(20件が上限の目安)に含まれる全ての出願に、同一の出願人が含まれていること
(3)出願群に、外国関連出願(国際出願を含めた外国の特許庁又は政府機関への特許出願)又は実施関連出願(出願人又は実施許諾を受けた者がその発明を実施中の特許出願、又は申請書の提出日から2年以内に実施予定の特許出願)が含まれていること
(4)新規な事業や国際展開を見据えた事業の中に位置づけられる特許等(意匠登録出願及び商標登録出願を含む)の出願群であること
2.申請の資格と申請方法
(1)対象の出願群に含まれる全ての出願を行っている者が申請できます。
(2)まとめ審査を希望する旨と、担当者の連絡先(電話番号及びメールアドレス)とを、特許庁特許審査第一部調整課企画調査班(内線3107、メールアドレス=PA2160@jpo.go.jp)に通知します。
(3)特許庁からメールで送付される申請書に必要事項(案件リスト、簡単な事業説明、希望する着手時期及び権利化時期)を記載して返信すれば、随時受け付けられます(手数料は無料)。
3.申請から審査着手への流れ
(1)採否の通知:まとめ審査の対象となった場合は、特許庁側の担当者が通知されます。
(2)事業説明:審査請求の手続を行った後に、まとめ審査を担当する審査官に対し、事業の概要(新製品や新たなサービスの概要)、事業戦略(実施予定や国際展開の予定)、及び事業における出願の位置付け等を説明します。出願人の事業所等で行うことも可能です。
(3)面接:出願人が希望するタイミングで、特許庁舎内又は出願人の所在地近傍にて、原則として代理人が、個々の出願についての技術説明や先行技術との対比説明を行います。面接では、補正案の検討を行うことができます。
(4)協議:実体審査に際し、各案件を担当する審査官の間で協議が実施されます。
(5)審査着手:事業説明、面接、及び各案件を担当する審査官との協議を踏まえて調整されたスケジュールに従い、事業説明後6月以内を目安として各審査官による担当案件の審査が開始されます。
◆ 特許出願・審査などについて質問・相談がございましたら、お気軽に河野特許事務所までご連絡ください。
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