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PCTに基づく特許出願に対する情報提供

権利化を阻止するための手続

2014.4.1 野口 富弘

 市場のグローバル化に伴って、我が国特許庁を受理官庁としたPCT国際出願のみならず、世界のPCT国際出願の件数は、年々増加の傾向にあります。このような状況にあって、2012年7月から、PCT国際出願に対して新規性および進歩性に関する第三者による情報提供制度が導入されています。
 そこで、PCT国際出願の国際段階における第三者情報提供制度の概要について説明します。

1.第三者情報提供制度の概要
① 情報提供可能な時期:PCT国際出願の国際公開以降、優先日から28月までの間に1回のみ可能です。また、匿名による提出が可能です。
 なお、日本の国内特許出願に対する情報提供は、出願後のいつでも、また何回でも提出可能である点で相違します。
② 提供可能な情報:新規性および進歩性に関する情報であって、最大10件までの文献と各文献についての簡単な情報を提出することが可能です。文献の言語は如何なる言語でも可能です。
 なお、日本の国内特許出願に対する情報提供は、新規性および進歩性に限定されていない点で相違します。
③ 情報提供の言語:公開言語(英語、日本語、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、ポルトガル語、スペイン語、アラビア語)で行います。
④ 提出先:ePCTシステムによりWIPO国際事務局へ提出します。ePCTシステムへのアクセスには、WIPOのアカウントを作成する必要があります。詳細は以下のURLを参照ください。
    https://pct.wipo.int/LoginForms/epct.jsp

2.第三者情報提供制度のメリット
① 国際調査報告や国際予備審査報告で考慮されます。
 提供された情報は、国際調査報告作成前の管轄国際調査機関および国際予備審査報告作成前の管轄国際予備審査機関へ送付され、また一般にも閲覧が可能となります。
② 全指定国へ送付されます。
 提供された情報は、優先日から30月経過すると、指定官庁(指定国の国内官庁)へ送付されます。ただし、提供された情報を採用するかどうかは各指定官庁の判断に委ねられます。また、WIPO国際事務局は、提供された情報の翻訳は行いませんので、情報提供を考慮してほしい指定国の言語を用いて情報提供を行うことが大切です。

◆海外での権利取得については、お気軽に河野特許事務所までお問い合わせください。

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