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特許法の改正

特許権の早期安定化・利便性の向上を目指して

2014.6.1 廣田 由利 


 改正特許法等が2014年5月に経済産業省により公布されました。施行は公布から一年以内の政令で定める日に行われます。今回の改正は、国際的な制度調和の観点も踏まえて、特許法等の知的財産権に関する法律の種々の制度を整備するという目的でなされました。以下に主な改正のポイントを説明します。

1.救済措置の拡充
 国際的な法制度に倣い、出願人に災害等のやむを得ない事由が生じた場合に、手続期間の延長を可能とする等の措置を講じることになりました。

(1)手続をする者の責めに帰することができない事由が生じた場合、手続期間を一定の期間に限り延長することができます。現行制度では、例えば東日本大震災の場合、直後に制定された特別措置に関する法律に基づき、東日本大震災を「特定非常災害」として政令指定した後、特許法の手続期間について必要な延長措置が講じられました。一部の諸外国においては、災害時における救済制度が既に個別法において整備されています。

(2)優先権主張を伴う特許出願について、優先期間内に特許出願をすることができなかったことに正当な理由がある場合、一定の期間内に優先権の主張をすることができます。
 優先権の主張をする旨の書面について、出願と同時でなくとも一定期間内であれば提出でき、その補正も、一定期間内であればできます。

(3)特許出願の審査の請求について、その請求期間を徒過したことに正当な理由がある場合、一定の期間内に審査請求をすることができます。

2.特許異議の申立て制度の創設と無効審判制度の改正
(1)特許権の早期安定化を可能にするために、特許異議の申立て制度を創設することになりました。
 誰でも、特許掲載公報の発行の日から6月以内であれば、特許庁長官に対し、特許異議の申立てをすることができます。特許異議の申立てについての審理は書面審理により行われ、審判長は、特許の取消決定をしようとする場合は、特許権者及び参加人に対し意見書を提出する機会を与え、また、特許権者から特許請求の範囲等の訂正の請求があった場合は、特許異議申立人に対し意見書を提出する機会を与える必要があります。この制度により利害関係人にとっては、ダミーを付けて、簡易かつ迅速な審理により特許の取り消しができるようになりました。

(2)無効審判については、①いつでも請求が可能   ②口頭又は書面での審理が可能
 という点は現在の無効審判の制度と同じですが、従来の無効審判制度では、「誰でも」、この無効審判を請求できたのに対し、改正後の無効審判制度では、「利害関係人」のみが請求人が請求できる点が異なります。特許権者にとって、現行制度では、いつ、誰から無効の主張を受けるかわからない期間が半永久的に続いていたが、請求人が利害関係人に制限されたので、無効審判の請求の可能性の予測がつき、特許権が早期に安定化することになりました。

◆ 改正特許法についてご不明な点がございましたら、河野特許事務所までお気軽にお問い合わせください。

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