ソフトウェアの特許の事なら河野特許事務所

閉じる
一覧  |   トップ  


商標法の改正

新しいタイプの商標の保護

2014.7.3 安田 恵

 「特許法等の一部を改正する法律」が平成26年5月14日に公布されました。改正法は公布日から1年以内に施行されます。これまで、商標法の保護対象は文字、図形、立体的形状等の視覚によって認識することができ、一定の形状を有した静的な商標に限定されていましたが、改正法により「新しいタイプの商標」が保護対象として導入されることになりました。現在、「新しいタイプの商標」の登録要件、出願方法等の審査基準の改定が進められています。

「新しいタイプの商標」の概要
①「音」の商標:音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚によって認識されるものです。例えば下のような「ヒサミツ」の社名を乗せたメロディーからなる商標(a) は音の商標として保護対象になります。
また、ライオンの吠える音からなる商標(b) も保護対象になります。音の商標は、楽譜等又は音の説明及び音源等によって特定されます。

   (a) 欧州登録002529618(久光製薬株式会社)
(b) 米国登録1395550(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)

②「色彩」の商標:図形等の結合したものでは無く、輪郭の無い色彩のみからなる商標です。例えば下のような複数の色彩を組み合わせた商標(c)、単色の商標(d) 等が保護対象になります。

(c)米国登録3252941         (d) 欧州登録003793361
        (株式会社トンボ鉛筆)             /赤紫(Mars社)

③「動き」の商標:図形等が時間によって変化して見える商標です。例えば、マイクロソフトの4色旗の周りの色が時間の経過に伴って変化するような商標が保護対象になります(欧州登録005910831)。
④「ホログラム」の商標:見える角度によって変化する図形、立体的に映し出された図形の商標です。
⑤「位置」の商標:図形等の標章と、その付される位置によって構成される商標です。例えばコンクリートミキサ車に付された赤色帯及び青色帯をドラム(位置)に配したような商標(e) が保護対象になります。

(e)欧州登録007106412(セメックス社:CEMEX, S.A.B. DE C.V.)

☆出願手続・権利範囲の特定方法について
 「新しいタイプの商標」を出願する場合、従来の商標見本に加え、商標登録出願の願書にどのようなタイプの商標であるかの記載、「新しいタイプの商標」を特定するために必要な「商標の詳細な説明」を記載しなければなりません。「音」の商標は楽譜又は文章を商標見本の欄に記載します。また、「音」の商標については、音源データ等の物件を願書に添付しなければなりません。商標の権利範囲は、願書に記載された商標に加え、願書に記載された「商標の詳細な説明」、音源データ等を考慮して定められます。

◆ 商標の使用および登録については、河野特許事務所まで、お気軽にご相談ください。


閉じる

Copyright(c) 河野特許事務所